2018 Fiscal Year Research-status Report
Actul Condition Survay on Music Education practice for Movable and Fix Do
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18K02641
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
水戸 博道 明治学院大学, 心理学部, 教授 (60219681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音楽教育 / 移動ド / 固定ド / 相対音感 / 絶対音感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は音楽音高の言語的符号化に関して、移動ドと固定ドの学校教育での効果的な指導を検討するために、① 移動ドと固定ドの異なる符号化システムの学習に対して教員がどのような意識をもって実践をおこなっているか②小学生と中学生が学校教育の中でどのような移動ドや固定ドの教育を受け、そこからどの程度の符号化の能力を身につけているかについて研究を進めた。①については、教員に対するアンケート調査のための質問紙の検討をおこなった。質問紙の内容は、歌唱、器楽、創作などの活動で読譜をどの程度取り入れているか、児童生徒はどの程度の読譜の能力を持っているか、固定ドと移動ドによる読譜やソルミゼーションを音楽活動によってどのように使い分けているか、移動ドと固定ドの利点と欠点に関してどのように考えるか、などを聞くこととした。②に関しては、学校の授業の中でこれまでどの程度読譜の学習をおこなってきたか、楽譜を読むことに関してどの程度自信があるか、楽譜をどの程度読めるようになりたいか、などを聞く予定である。合わせて、学校外の音楽活動(ピアノやその他の楽器の学習歴や音楽関係の部活動経験)に関しても質問する予定である。 上記のアンケート調査の検討に加えて、本年度の研究では、移動ドの指導に成果を上げている静岡大学付属学校の実践を分析した。分析はDVDにまとめられている授業実践を対象とした。その結果、合唱などの歌唱の活動において、徹底した移動ドの教育は、譜読みや正しい音程の歌唱をおこなう上において効果をあげていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、児童生徒と教員に対してアンケート調査をおこなう予定であったが、質問紙を作成するにとどまった。アンケート調査に至らなかった理由としては、主に児童生徒への質問紙において、小学校低学年、小学校高学年、中学校の児童生徒に応じた質問項目と質問方式を検討するのに時間がかかったためである。また、調査実施校の学暦の都合で、調査を予定通りおこなうことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アンケートを実施することと、小学生の児童生徒にたいする音感テストの実施を目指している。アンケートに関しては、質問紙はほぼ完成しているが、質問内容の最終確認として、現場の教員との打ち合わせをおこなう予定である。また、音感テストに関しては以下の手順でおこなうべく、予備実験を開始する予定である。 音感テストは聴取実験と旋律の再生実験によっておこなう予定である。聴取実験は、5音からなる短い旋律を聴き、旋律の音高をドレミのシラブル等で答えるものである。5音からなる旋律は、Ⅴ→Ⅰのカデンツに続いて提示されるが、実験参加者は、最初に固定ドの音名で答えるように求め、その次に移動ドの階名で答えるように求める。再生実験は、新曲の再生と、既知曲の再生の2つの方法で行う。移動ドによる再生課題では、ハ長調のドレミのシラブルでかかれている旋律を、さまざまな調のⅤ→Ⅰのカデンツに続いて階名として歌うように指示する。また、固定ドの再生課題では、5線紙に記譜された5音の旋律を音名シラブルで読む(可能なら音程をつけて歌う)ように指示する。既知曲の再生では、実験参加者がすでに知っている曲を、固定ドと移動ドのいずれかで再生するように求める。
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Causes of Carryover |
研究が遅れたため次年度使用額が生じた。当初は、本年度にアンケート調査や音感テストの予備実験をおこなう予定であったが、調査と実験を実施するに至らなかったため、旅費や謝礼の支払いの必要がなかった。
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