2019 Fiscal Year Research-status Report
高大連携による学際的ライティングの指導プログラムの開発
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18K02662
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 一貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30345772)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 書くことの教育 / ライティング / ジャンル分析 / テクスト分析 / ディスコース研究 / 学際性 / 授業研究 / 授業の談話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究実施計画に沿って、授業実践の基盤となる書くことの教育の原理的な考え方を整理した。 授業データの収集を目的とする指導の実施に向けて、これまでの国語科における書くことの基盤となる文章表現観について、テクスト・ディスコース論に基づくジャンル分析研究の成果をふまえて批判的検討を行った。これにより、高等学校と大学との間にあるライティングの考え方の違いを理論的に明確にし、その違いを乗り越えるための学習指導の基盤原理を明らかにした。 研究成果として、ジャンル分析研究における求心的発想と、遠心的発想について整理を行い、研究論文に発表した。この二つの側面は相反する関係にあるが、その関係は解消されるものではなく、書くことの学習指導の前提であることを示した。 また、上述の研究成果をふまえて、国語科教育における書くこと観の整理を行い研究論文に発表した。これまでの国語科教育では、求心的発想と遠心的発想を文章表現において一体化し統合することが前提とされてきいた。しかし、この考え方では二つの側面の相反する関係が前提とはならず、社会的慣習への馴致という問題が生じてしまうことを指摘した。 以上の成果をふまえ、高等学校において実施されているプレゼンテーション活動を取り入れた教育プログラムの指導の構想を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では、学習指導理論の構築、指導の実施計画の作成を進める予定であった。しかし、研究協力を依頼している高等学校の事情により、学校と連携した授業の実施が困難な事態が生じており、授業を行うことが出来ず、計画に遅れが生じている。 研究協力者である授業予定者とは、研究の概要に示した研究成果を共有することに因り、引き続き授業実践の実施と、データの収集の進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の主要な成果は、これまでの国語科の書くことの教育の限界を指摘し、その問題点を克服するかたちで高大連携のライティング指導の原理を示したことである。これに基づいて、2020年度は年度の複数の高校における授業実践を行う予定である。しかし、状況に応じては指導方法の具体化を進めることに焦点を当てていく場合もある。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施を計画していた授業実践について、研究協力者と勤務校の事情により年度内に実施が困難となった。そのため、学習過程の調査を通した調査に遅れが生じ、また基礎データの収集を行うことが出来なかった。そのため、印刷費と謝金、ならびに調査内容の研究発表に関わる旅費の支払いがなされなかった。 次年度においてこの研究の遅れた部分を実施し、授業資料の印刷費と調査のデータ作成、研究発表に関わる旅費の支出を計画している。
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Research Products
(3 results)