2020 Fiscal Year Research-status Report
「先生の先生」をいかにして育てるか-教師教育者の専門性開発-
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18K02669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草原 和博 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40294269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 遊 徳山大学, 経済学部, 准教授 (30805643)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教師教育者 / 教師教育 / セルフ・スタディー / 専門性開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,教師教育者の専門性開発の方略を,海外先進地の取組とそれを支える思想と方法論を手がかりに開発することを目的としている。本目的を達成するために,1年次は,ヨーロッパのなかでも教師教育の研究がとくに盛んで,教師教育者の専門性を組織的に実施しているノルウェーのNafolの調査を行った。2年次は引き続き,同じ北欧のアイスランドのアイスランド大学の調査を行い,従前の成果との比較考察を行った。3年次は,新型コロナ感染症の拡大により,対面での教師教育者養成プログラムの開催及び海外調査が実施できなかった。そのため本年度は成果報告に傾注した。具体的な成果は,大きく以下の2点である。 第1に,教師教育者の専門性開発に資するself-studyをテーマにオンラインセミナーを4回開催できたことである。self-studyの歴史・思想と論文執筆上の課題をめぐって毎回論点を設定して議論するとともに,世界(米国:AERA,韓国,アイスランド等)の研究動向について情報提供することができた。 第2に,教職課程担当者の教育実践や研究活動の正当性についてメタ認知を促す研究会を開催できたことである。日本教育方法学会では「教育方法学の教育方法学を,教育方法学者としてどのように考え,実践するか」を主題とした課題研究を,日本教科教育学会では「若手教科教育研究者は,教科教育とその研究をどのように捉えているか」を検討するシンポジウムを企画,実施することができた。 これらを通して,本科研の途中成果と問題意識を社会と学会に集中的に発信できたことが3年次の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の拡大によって,当初予定していた①教師教育者養成のプログラム開発と実践検証,②追加の海外調査,の2点を実施できなかった。しかし,成果報告の場を拡充することができた。また,後述するように研究期間を延長することで,本年度実施予定だった研究内容を来年度に推進する見通しを立てることができた(実質的な準備期間にあてることができた)。よって研究期間を1年延長することで,当初の研究計画を完遂できる見通しが立った。 これらの点から総合的に見ると,「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,以下の研究を行う。 第1に,教師教育者養成のプログラム開発を行うことである。これまでオランダ,ノルウェー,アイスランド等の教師教育者の養成動向を調査してきた。来年度は調査結果を援用してプログラムのデザイン原則を策定し,それをプログラム化して実践する。教師教育者の育成に際しては,①アイデンティティのメタ認知と共同構築,②モデリング,メンタリング,成人教育,教師の成長に関する理論習得と実践,③同僚とのネットワーキングとメンターの設定,④研究を通した教師教育実践の自己省察,⑤教師教育実践に関するナラティブの作成と相互対話,などが有益なことが明らかとなってきた。そこでこれらのデザイン原則に基づいて「教師教育者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント講座(入門編・研究編)」を履修証明プログラムとして構想し,実際に運営することとする。 第2に,教師教育者養成プログラムに学んだ履修者の専門性向上の過程と背景を考察することである。開設した履修証明プログラムには,多様なキャリアを背景にもち,多様な組織(行政機関ベース・学校現場ベース・大学ベース・フリーランスベースなど)で教師教育に従事している教師教育者が参加することとなっている。彼ら彼女らの問題意識の変容と当事者によって認知された専門性の向上を質的に調査することで,本プログラムの意味を明らかにしたい。 第3に,第1と第2の成果を論文化することである。「教師教育者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント講座」の参加者とスーパーバイザ(本科研の代表者・分担者)がテーマを設定し,実際に共同研究を遂行し,その過程と成果を自己分析するself-studyを行うことで,教師教育者にとっての「研究」の意味を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大によって,教師教育者養成のための専門性向上プログラムを開催することができなかった。あわせて補充的な海外調査が実施できなかった。 次年度は,これらの経費を「教師教育者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント講座」を運営する支援者(TA)の雇用経費,講座運営に必要な専門文献費,聞き取り調査の文字起こしに要する費用,学会発表のための諸経費等に使用する予定である。
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Remarks |
草原和博,藤江康彦(2020年10月11日)「課題研究Ⅳ 教育方法学の教育方法学を,教育方法学者としてどのように考え,実践するか」,日本教育方法学会第56回大会,オンライン開催,のコーディネータ。 草原和博,岡出美則(2020年9月12日)「シンポジウム:若手教科教育研究者は,教科教育とその研究をどのように捉えているか」,日本教科教育学会第46回全国大会,オンライン開催,のコーディネータ。
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Research Products
(10 results)