2019 Fiscal Year Research-status Report
大正・昭和期の女性音楽教育者に関する研究―増子としと小林つや江に着目して―
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18K02678
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
松本 晴子 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50453353)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宮城女学校 / 音楽教育者 / 子どもの歌の詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大正・昭和期に音楽教育に尽力した2人の女性音楽教育者に着目し、4年間で研究を完成させるものである。主な視点は、①教育者になるまでどのような修学を経たのかについて検証する②のこした業績を整理し分析する③音楽教育者としての理念を探るの3点である。これらを総合的に考察し現在の音楽教育がどうあるべきかへの示唆を導きだす。2018年度~2019年度の2年間は増子とし(以下増子)研究にあて取り組んできた。 2018年度は、増子の経歴の確認と増子の著した文献収集を中心に研究を進めた。経歴については、幸いにも増子の養女となった遺族の吉野トキ子氏にインタビュー調査を行うことができ、具体的資料(戸籍謄本、東京都の辞令の複写など)をお借りすることができた。また増子が在籍していた時代の頌栄保姆伝習学校(現在の頌栄短期大学)のカリキュラムについて検討することから、増子の学びのプロセスを検証した。1年目の成果として、増子の生い立ちと宮城女学校での学びの概略を整理し、頌栄での学びに焦点をあてた小論を発表した。 2019年度は増子の業績を中心に整理、検討を行った。「思いでのアルバム」についてはこれまで新聞や論考などでいくつか取り上げられているが、その他の増子の業績について語られることはほとんどなかったことから、本研究において増子の業績をまとめたことは、今後の増子研究にとってひとつの指針となると思われる。2019年度は、2018年度の小論で不足していた部分を補い、人と業績をテーマに研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前半2年間は増子研究に取り組み、遺族と宮城学院資料室のバックアップもあり「増子としの人と業績」をまとめることができた。 2020年度からは、小林つや江研究に入るが、新型コロナウィルス感染防止のための社会的状況の制約があり調査研究には時間がかかることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目は、小林つや江について研究を進める。教育者としての歩んだ道と業績について明らかにするにあたって、幸いにもご親族と連絡がとることができた。ご協力いただくことを快諾いただいたことから、新型コロウィルス感染防止の社会的状況が落ち着いたら、保管なされている資料の確認に何度か伺い貴重な資料を整理する予定である。 先行研究や国会図書館などの公共に残されているものについては社会的状況によって制約があるために、可能な範囲で進めていくこととする。カリキュラムと女性音楽教育者の視点についても言及できるように取り組んでいくのが課題である。
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Causes of Carryover |
資料収集、調査研究に要した経費は学内個人研究費を一部使用することができたため、次年度に繰り越した。今年度は、小林研究初年度にあたるため、昨年度よりは資料集、調査研究に出張する回数が増える。このことから経費を活かし研究を進めたい。
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