2020 Fiscal Year Research-status Report
Dialogic pedagogical analysis of the art education in comparison with play activities
Project/Area Number |
18K02684
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 清孝 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (90146316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育 / 対話的教授論 / 保育者論 / アート / 想像遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バフチン的な対話思想に基づく対話主義授業論の立場から、アート教育の意義を,遊び活動と比較しつつその対話構造を分析することで明らかにしようとした。今年度は本来最終年度として、データ取得面では中心的な観察サイトである幼稚園の観察、スウェーデンの保育園での観察を予定していた。さらに研究発表については複数の海外学会への参加を予定していた。しかしcovid-19の国際的な蔓延により、いずれも実行することができず研究は停滞し、研究期間を1年間延長せざるを得ない結果となった。 そこで年度後半では同じ幼稚園をフィールドとし幼稚園より観察許可を得ることのできた国内の研究者とリモートによる定期的な研究打ち合わせをおこない、令和2年度のみならず過去のデータについても分析をおこない、また海外の共同研究者とも主としてメールでやりとりし、前年度に得た理論的な示唆をさらに発展させることができた。 (1)想像遊びの分析は多く見立ての表象能力や、またナラティブの獲得、展開の過程に焦点が当たってきた。しかし想像遊びでも「想像世界」を制作する過程が重要である。言い換えるとアート製作活動と遊び活動の間には想像的世界を制作するという共通性がある。(2)制作過程は想像という言葉から連想されるようなまったくの自由なものではなく、前年度仮に「理(ことわり)」と名付けるにいたったある種の論理的な制約に従う。(3)アート制作との類似性を強調するこのような想像遊び観は「見立て」やナラティブを中心概念とするこれまでの研究に対し、新しい観点を提供するものである。(4)遊びにせよアートにせよ子どもの活動の中の「理」を聴き取り、それを明確にすることが保育者の対話的な関わりの中身である。(5)想像遊びとアート活動の相違は、アート活動において制作過程自体を振り返り、評価を含む対象化が特に重要である点にあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
covid-19の蔓延により、計画の実行がほとんど不可能であった。観察幼稚園には国内、国外の双方ともまったく訪問が許されなかった。また予定していた海外学会はすべて中止となった。海外研究者(アメリカ・スウェーデン)の研究サイト訪問、考えの交換も不可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れを取り戻すべく、国内の主要観察サイトである幼稚園での今年度のカリキュラムの観察を少しでもおこないたい。また発表予定の海外学会はリモートでの開催が決まり、そこでの発表を予定している。海外(スウェーデン)の保育園の訪問、および実践者とその研究者との打ち合わせも、可能であればおこないたいところである。ただし現在のところ、本年度後半でもこれらフィールドへの訪問が可能になるかどうか予断を許さない。不可能な場合には、過去に収集した観察データをもう一度分析することを通し、研究のまとめをおこないたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予算の大部分は出張費(国内の研究サイトへの、また海外の学会および関係する海外研究者の持つ研究サイト、および打ち合わせなど)に使用する予定であった。しかしcovid19のため、そのすべてをキャンセルせざるを得なかった。 次年度後半には国内、国外への出張の可能性があると考えており、それに用いる予定である。仮にそれが不可能になった場合には、過去のビデオ資料の整備(テープで撮ったもののディジタル化など)に用いる。
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