2018 Fiscal Year Research-status Report
新しい紙版画技法の開発とその教育教材としての有効性に関する研究
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18K02686
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
山口 雅英 愛知産業大学, 造形学部, 准教授(移行) (10351173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンケート / 講座 / 作品展 / 論文 / ホームページ |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究実績の概要> 1)版画教育の実態調査等に関するアンケート実施。小学校96校、中学校74校、高等学校16校その他11件から計197件の回答があり、版画教育の実態、教員が考える版画の教育的意義、問題点が明らかとなった。またアンケートでは研究者の考案した紙版画技法を紹介する資料を同封し、各技法の有効性について尋ねた。概ね好評であった。また批判も含め貴重な意見を得ることができた。2)研究者の考案した紙版画技法を紹介するリーフレット作成。写真と文章による説明の他、紹介動画にリンクできるQRコードを掲載した。1)のアンケートに添付の他、講習会や研究者の作品発表の機会に参加者、来場者に配布した。紙版画への理解を促し、普及に大いに役立てることができたと考える。3)愛知県三河教育研究会造形部会講習会、愛知県立蒲郡高等学校美術部対象講座の二つを実施。前者は小学校・中学校教員を対象とした講座。アンケートでは紹介した複数の技法はいずれも高い評価を得ることができた。後者ではプレス機を使用せずに凹版画を制作する技法に取り組ませ、有効な技法であるという知見が得られた。4)研究者自身の作品展開催。学校教材を超えた高度な技法による表現であるが、紙版画の可能性を示す機会とした。作家、愛好家、学生を始め教育関係者など多くの来場を得た。会場では各種資料等を用意し解説、普及に努めた。5)次の2件の論文を発表。「新しい紙版画技法の学習教材としての有効性に関する考察」, 単著,2019,愛知産業大学短期大学『紀要』, 31号, pp95-113。「紙版ドライポイントにおける濃淡表現技法の研究」, 単著, 2019, 愛知産業大学『造形学研究所報』, 15号, pp21-26。6)ホームページ開設。動画を中心とした各種紙版画の技法紹介、研究者自身が実施またはアドバイザーとして関わった講座の記録をまとめたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概ね計画どおりの進捗状況であるが、当初当該年度に実施を予定していなかったホームページを作成することができたため「計画以上に進展している」とした。ホームページでは、研究の成果として研究者が考案した新しい紙版画技法を動画資料で紹介するとともに、研究者自身が実施した講座、研究者がアドバイザーとなった講座の実施記録を掲載している。
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Strategy for Future Research Activity |
<今後の研究の推進方策> 1)初年度に実施した全国アンケート、また地域の教員対象の講座、高等学校美術部での生徒対象の講座を通じて得られた知見に基づき、研究者の考案した紙版画技法を学校教材として有効なものとなるように改良するとともに、準備や片付けなど授業運営にも配慮した制作プロセスの構築の研究に取り組む。2)1)に挙げた研究の成果を現場の教員や児童、生徒に実際に体験してもらうことにより、実効性、有効性を確認するとともに、意見や感想を取り入れながら更なる改善、工夫を加えていく。現在愛知県内4つの市から夏季教員研修会での紙版画講座の依頼を受けており、この機会を活用し目標を有効に達成していきたいと考える。3)紙版画技法の体系化に取り組む。研究の最終年度にあたる次年度には研究成果の集大成として紙版画の技法書を出版する。これは研究者が考案した新しい紙版画技法を中心に既存の技法も加え紙版画技法全般を体系化した内容とする。このための準備に取り組んでいく。4)以上の取り組みによって得られた研究成果を随時ホームページで公開していく。 <研究遂行の課題> 教員対象、高校生を対象とした講座は行っておりまた今後も実施の予定があるが、小学校児童、中学生生徒を対象とした講座の実施も行う必要があると考えている。教員対象の講座を通じてこの実施を打診する予定である。
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Causes of Carryover |
<状況>1)全国アンケートの返信数が見込みの1/3程度となったため50,000円程度の費用が未使用となった。2)アンケートのもどりが想定よりも少なかったため集計処理を研究者自身が行ったため計上していた謝礼4,000円が未使用となった。3)講座材料費として5,000円計上していたが、開催が年度末ぎりぎりとなり2019年度分で計上したため2018年度分5,000円が未使用となった、3)現地調査費用として10,000円を計上していたが特段の調査対象が見つからなかったため未使用となった。 <使用計画>2019年度については、基本的に2018年度に実施したアンケート、講座で得た知見に基づき、研究内容を精査、改善、整理し、2020年度の技法書出版の準備期間とするというのが基本的な計画である。繰越し金については、技法書作成の前段階として技法紹介の冊子を作成の費用に当てることとする。冊子は本年度担当を予定している4つの教員対象の実技講習会で資料として配布する。
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Remarks |
動画を中心とした各種紙版画の技法紹介、研究者自身が実施またはアドバイザーとして関わった講座の記録をまとめたものである。
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Research Products
(3 results)