2020 Fiscal Year Research-status Report
新しい紙版画技法の開発とその教育教材としての有効性に関する研究
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18K02686
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
山口 雅英 愛知産業大学, 造形学部, 准教授(移行) (10351173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 美術教育 / 図画工作 / 版画教育 / 紙版画 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究実績1>論文「紙版ドライポイントの学校教材としての展開」(大学美術教育学会『美術教育学研究』第53号,2021年, p.273-280)本論文は,2019年度に実施した小中学校教員対象の紙版画講座での実践から得られた知見に基づいて研究者が考案した紙版画技法とその教材としての有効性について論じたものである。本論文で紹介する主な技法は次のとおり。瓶の底をバレンのように用いることで、プレス機を使わずに凹版刷りできる技法「ビンバレン刷り」,ジェッソとニスを使用し、従来の紙版ドライポイントでは出せなかった自由度の高い濃淡表現を得る「ジェッソアクアチント」と「ニスメゾチント」,複雑な形状の版や複数の図柄を組み合わせた版を手間をかけず,手を汚しにくしながら刷ることができる「マスキング版」等である。本研究の目的として,現状の版画教育の問題点を改善するとともに、版画教育における教材選択の幅を広げることを掲げているが,本論文はこの目的達成のためのひとつの大きな成果であると考える。 <研究実績2> 論文「各種の技法を用いた紙版画作品制作の事例」(愛知産業大学造形学研究所『造形学研究所報』第17号, 2021年3月, p.37-44)本論文では紙版画の各種の技法を使った研究者自身の作品制作の事例を紹介している。内容については本研究の対象である学校教材の範囲を超えたものであるが、紙版画が成人の作家の表現手段としても有効であることを示すことは版画教育も含む、版画文化全般の発展に貢献するものであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では最終年度となる2020年度に本研究の集大成となる紙版画技法書の完成を予定していた。しかし新型コロナの影響により完成に至らず1年延長することとなった。 このため進捗状況区分を「(4(遅れいている」とした。 現在は本年度中の完成に向けて執筆に取り組んでいる。それ以外の計画についてはすべて2020年度で完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に記したとおり、当初の2020年度での終了に至らなかったが、計画した課題としては,本研究の集大成としての紙版画技法書執筆を残すだけである。この完成に向け執筆を進めることが今後の研究の推進方策である。 それ以外の計画については完了しているが、引き続き研究を続けその成果をホームページで公開しまた論文で発表していくことを計画している。
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Causes of Carryover |
当初事業は2020年度までであったが、新型コロナの影響により当該年度に研究を終えることができなかった。2020年度分の費用は全く使用せず、2021年度に回すこととしたため。
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Research Products
(2 results)