2019 Fiscal Year Research-status Report
The Instructional Materials Development of the Multi-cultural Oriented Issues to Advance "the Global Partnership" Through the Japan-US Collaborative Action Research
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18K02688
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
小原 友行 福山大学, 人間文化学部, 教授 (80127927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グローバル・パートナーシップ / 多文化間イシュー教材 / 希望創造型教材 / 協働的アクションリサーチ / 多文化理解学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、大きく次の5点の研究実績をあげることができた。第1に、前年度に構築した「グローバル・パートナーシップ」を育成するアクティブ・ラーニング型の新たな多文化理解学習に関する理論仮説とそれ基づく教材開発のためのフレームワークに基づいて、多文化理解学習のための教材として有効と考えられる「多文化間イシュー教材」の一つである「希望創造型教材」の実例として、単元「平和を願った二人の少女の物語~禎子とヒロ子~」を日米での現地調査に基づいて開発した。第2に、開発した教材を用いた研究授業を、日米両国の小学校の最上級学年のクラスの児童に対して実施(日本は7月上旬に広島大学附属三原小学校第6学年、米国は9月中旬にノースカロライナ州グリーンビル市のエルムハースト小学校第5学年)し、その結果の吟味に基づいて教材の修正・改善を図った。また、日米両国の大学生に対しても実施(日本は9月中旬に福山大学の地理クラス、米国は9月下旬にイーストカロライナ大学の歴史クラス)し、学習者自身が新聞記者となって歴史上の人物を時空を超えて取材し、その成果を「はがき新聞」形式で表現するというアクティブ・ラーニング型授業の有効性を検討した。第3に、米国側の研究協力者を11月に招聘し、研究授業の分析・評価のための評価会議を開催するとともに、教材の修正・改善と次年度の研究計画の作成を行った。第4に、2019年度の研究成果を、2019年11月9・10日に島根大学で開催された全国社会科教育学会第68回全国研究大会において、「『グローバル・パートナーシップ』を育成する希望創造教材の日米協働開発~平和を願った二人の少女の物語~」というテーマで自由研究発表を行い、理論仮説および教材の吟味に基づく再修正を図った。第5に、2020年度に開発予定の教材「ヒロシマの校庭から届いた絵」の調査をワシントンDCおよびホノルルで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた研究の手順は、下記の4点であった。①「グローバル・ パートナーシップ」を育成するための多文化理解学習の理論仮説と、それに基づく教材開発のためのフレームワークに基づいて、「多文化間イシュー教材」としての「希望創造型教材」を日米協働で開発する。②開発した教材を用いた研究授業を日米両国において実施し、その結果の分析・評価に基づいて教材の修正・改善を図る。③日本において米国側の研究協力者や研究授業協力校の関係者を招請した教材開発のためのワークショップを、また米国において研究授業の分析・評価のための評価会議を開催し、理論仮説および教材の修正・改善を図る。④2019年度の研究成果を、全国社会科教育学会、日本NIE学会、日本教材学会等で発表する。 2019年度には、このような手順に基づいて研究を進めていった。④の研究成果の発信という点では、全国社会科教育学会第68回全国研究大会において、「『グローバル・パートナーシップ』を育成する希望創造教材の日米協働開発~平和を願った二人の少女の物語~」というテーマで発表するとともに、「多文化間イシュー教材」の異なるタイプと考えられる「希望創造型教材」との関連で、瀬戸内の里山・里海創生をテーマに教材調査を行い、日本NIE学会第16回鳴門大会において「新たな価値の創造を目指した大学におけるNIE授業の開発~単元「瀬戸内創生をデザインする」の実践化~」を発表した。また、2018年度の研究成果を、福山大学大学教育センターの機関紙である『大学教育論叢』第6号に「「グローバル・パートナーシップ」を育成する多文化間イシュー教材の日米協働開発~「幕末の日米交流物語-万次郎とマクドナルド-」~」として掲載した。これらの点から、全体としては研究はおおむね順調に進展したと自己評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究のリフレクションに基づきながら、今後の研究の推進方策として、2020年度には、特に下記の5点を重視しながら研究を加速させていきたい。第1に、2018・2019年度に実施した研究授業の分析・評価に基づいて、多文化理解学習の理論仮説とそれに基づく教材開発のためのフレームワークの修正・改善を図っていきたい。第2に、これまでに構築してきた多文化理解学習の理論仮説と教材開発のためのフレームワークに基づいて、新たに「対立・葛藤型教材」を開発していきたい。具体的には、被爆直後の広島市内の爆心地に最も近い小学校と米国ワシントンDCの教会との間で生まれた、戦争と平和の課題を克服する交流の歴史物語を教材として取り上げた、「ヒロシマの校庭から届いた絵~本川小学校の物語~」の教材開発を考えている。第3に、開発した教材を用いた研究授業の実施を、日本では広島大学附属三原小学校および広島市立本川小学校の5年あるいは6年生のクラスで、米国ではノースカロライナ州グリーンビル市にあるウオールコーツ小学校の5年生のクラスで実施し、その結果の分析・評価に基づいて教材の修正・改善を図りたい。第4に、日本において米国側の研究協力者や研究授業協力校の関係者を招聘した教材開発のためのワークショップを、また米国において研究授業の分析・評価のための評価会議を2020年度も開催し、理論仮説および教材の修正・改善を図りたい。最後に第5として、研究成果の公開と普及に関しては、全国社会科教育学会、日本NIE学会、日本教材学会等での発表および機関誌への投稿を行うとともに、3年間の研究成果をまとめた「多文化間イシュー教材集」を完成させたい。
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Causes of Carryover |
2019年度に消耗品(USBやインクリボン等)の購入を計画していたが、その必要が生じなかったため。
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