2020 Fiscal Year Research-status Report
The Instructional Materials Development of the Multi-cultural Oriented Issues to Advance "the Global Partnership" Through the Japan-US Collaborative Action Research
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18K02688
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
小原 友行 福山大学, 人間文化学部, 教授 (80127927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル・パートナーシップ / 多文化間イシュー教材 / 対立・葛藤型教材 / 協働的アクションリサーチ / 多文化理解学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、大きく次の5点の研究実績をあげることができた。第1に、前々年度に構築した「グローバル・パートナーシップ」を育成するアクティブ・ラーニング型の新たな多文化理解学習に関する理論仮説とそれ基づく教材開発のためのフレームワークに基づいて、多文化理解学習のための教材として有効と考えられる「多文化間イシュー教材」の一つである「対立・葛藤型教材」の実例として、単元「ヒロシマの校庭から届いた絵~本川小学校の物語~」を、前年度の日米での現地調査に基づいて開発した。第2に、開発した教材を用いた研究授業を、広島市立本川小学校第6学年の3クラスの児童に対して10月上旬に実施し、その結果の吟味に基づいて教材の修正・改善を図った。第3に、学習者自身が新聞記者となって歴史上の人物を時空を超えて取材し、その成果を「はがき新聞」の形式で表現するというアクティブ・ラーニング型授業の有効性を、当日の研究授業見学者の間での授業後のリフレクションと、実際に児童が作成した「はがき新聞」の内容分析に基づいて検討した。第4に、2020年度の研究成果を、日本NIE学会第17回東京大会の研究・実践交流会(2020年11月22日)で発表を行い、理論仮説および教材の吟味に基づく再修正を図った。第5に、2019年度の研究成果である研究論文「『グローバル・パートナーシップ』を育成する希望創造教材の日米協働開発~『平和を願った二人の少女の物語-禎子とヒロ子-』~」を福山大学大学教育センター『大学教育論叢』第7号に投稿し、掲載された。また、2020年度の研究成果である研究論文「『グローバル・パートナーシップ』を育成するNIE教材の開発~『ヒロシマの校庭から届いた絵-本川小学校の物語-』~」を『日本NIE学会誌』第16号に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していた研究の手順は、下記の5点であった。①「グローバル・ パートナーシップ」を育成するための多文化理解学習の理論仮説と、それに基づく教材開発のためのフレームワークに基づいて、「多文化間イシュー教材」としての「対立・葛藤型教材」を日米協働で開発する。②開発した教材を用いた研究授業を日米両国において実施し、その結果の分析・評価に基づいて教材の修正・改善を図る。③日本において米国側の研究協力者や研究授業協力校の関係者を招請した教材開発のためのワークショップを、また米国において研究授業の分析・評価のための評価会議を開催し、理論仮説および教材の修正・改善を図る。④2020年度の研究成果を、全国社会科教育学会、日本NIE学会、日本教材学会等で発表する。⑤3年間の研究成果をまとめた「多文化間イシュー教材集」を完成させる 2020年度には、このような手順に基づいて研究を進めていった。④の研究成果の発信という点では、日本NIE学会第17回東京大会の研究・実践交流会(2020年11月22日)において「『グローバル・パートナーシップ』を育成するNIE学習教材の開発~『ヒロシマの校庭から届いた絵-本川小学校の物語-』~」として発表し、『日本NIE学会誌』第16号に投稿し掲載された。また、2019年度の研究成果であった「『グローバル・パートナーシップ』を育成する希望創造教材の日米協働開発~『平和を願った二人の少女の物語-禎子とヒロ子-』~」を福山大学大学教育センター『大学教育論叢』第7号に投稿し掲載された。 これらの点から、全体としてはおおむね順調に進展したと判断できる。しかし、コロナ禍の影響で、②③の米国との協働的な取り組みは中断を余儀なくされ、米国での研究授業も中止となった。また、最終的なまとめである教材集の完成には至らなかった。そのため、1年間の研究継続が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究のリフレクションに基づきながら、延長が認められた2021年度の研究の推進方策として、2021年度には、特にコロナ禍の影響で実施できなかった下記の3点を重視しながら研究を加速させていきたい。 第1に、2020年度に開発し、日本においてのみ実施した研究授業の分析・評価に基づいて、多文化理解学習の理論仮説とそれに基づく教材開発のためのフレームワークの修正・改善を図っていくとともに、米国の小学校において研究授業を実施し、日米の研究者間での協働的アクションリサーチを行っていきたい。第2に、2020年度にコロナ禍の影響で実施できなかった、日本における米国側の研究協力者や研究授業協力校の関係者を招請した教材開発のためのワークショップを、また米国において研究授業の分析・評価のための評価会議を開催し、理論仮説および教材の修正・改善を図りたい。第3に、研究成果の公開と普及に関しては、これまでの研究成果をまとめた「多文化間イシュー教材集」を完成させたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の直接・間接的な影響で、下記の3点を実施することができなかったため、次年度使用の必要が生じた。①米国での研究授業の実施および研究授業の分析・評価を行う評価会議のための渡米ができなかった。②米国側の研究協力者や研究授業協力校の関係者を招請して行う日本でのワークショップを実施することができなかった。③3年間の研究成果をまとめた「多文化間イシュー教材集」を完成させることができなかった。 2021年度には、これら3点の実施のための助成金使用を計画している。
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Research Products
(3 results)