2019 Fiscal Year Research-status Report
大学の数量的な「共通知」から分析マインドを涵養する人材育成プラットフォームの開発
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18K02706
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大野 賢一 鳥取大学, 学長室, 教授 (90314608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌田 敏行 茨城大学, 全学教育機構, 准教授 (00400599)
岡部 康成 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (10413569)
小湊 卓夫 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (30372535)
藤井 都百 九州大学, インスティテューショナル・リサーチ室, 准教授 (50437092)
田中 秀典 宮崎大学, IR推進センター, 准教授 (50529253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IR / 共通知 / 共通分析セット / 教学マネジメント / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、評価・IRの実務経験者が所属大学での実践事例を持ち寄り、その中から共通的にみられる事象や解釈等(以下、共通知という)を抽出し、分析業務に活用できるツール「共通分析セット」を作成すること、また、本ツールの活用により、我が国の大学におけるIR業務の定型化、IR人材の育成に取り組むことを目指している。今後3年間において、3つのフェーズ(①共通事象の抽出及び分析パターンの体系化、②勉強会の開催及び共通分析セットの作成、③実用度アンケート調査の実施並びに共通分析セットの実用検証及び普及)において研究活動を展開する。 2019年度は、フェーズ①において、研究代表者、研究分担者及び研究協力者による第3回研究会を開催して、新たな事例の追加、共通事象・要因の抽出、分析パターンの体系化等に引き続き取り組んだ。今回は、「大学評価・IR担当者集会2018」の分科会2「内部質保証に向けたIRや調査機能の育成」(2018年8月開催)の参加者に対して実施した意見聴取結果を基に、共通的に見られる事象リスト(主に教学系)を新たに作成し、事例ごとの討議及び共通事象・要因の抽出を行った。また、研究の領域における共通知として論文数と職位、論文数と外部資金獲得件数・金額等の関係性についても議論を行った。さらに、教学や研究の領域以外で共通知となり得る情報を収集するため、特色あるIR活動を行っている大学に訪問調査を実施した。具体的には、グローバル化に係る事例については立命館アジア太平洋大学、大学運営等に係る事例については佐賀大学へ訪問し、各大学で利用されている指標や分析事例の収集や運用に関する意見交換を行った。 フェーズ②及び③において、2020年度実施に向けて、共通知の公表方法(Webでの情報公開等)、アンケート実施方法(対象者やスケジュール等)、「共通知勉強会」の開催等について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェーズ①については、2018年度に実施した参加者の意見聴取結果を踏まえ、実践事例の共有、共通事象・要因の抽出等を検討する研究会を開催した。2018年度と同様に、大学の設置形態や収容定員による規模等を考慮して、今回新たに追加した事例(教学系)や研究の領域における事例を共通事象リストとして作成し、共通事象・要因の抽出を行った(現在はリストを整理中)。また、2大学への訪問調査で収集した事例や指標等については、共通的に見られる事象になり得るかを精査した上で、2020年度に開催する研究会の検討材料にすることとした。 フェーズ②に関連して、日本高等教育学会第22回大会において、「IRが抽出した『共通知』の教学マネジメント分野への適用可能性」と題した研究発表を行った。具体的には、共通知に関する概念、分析に係る各項目(目的、使用データ、共通的事象、解釈・要因等)と可視化例を組み合わせた共通分析セットを数例示すとともに、2018年度に実施した分科会2における共通的事象の判定結果の報告及び今後の利活用について発表した。質疑応答が数件あったが、共通知の考え方や活用方法に対して好意的な意見であった。 ただし、当初の計画では、研究会は2回、IR担当者向け勉強会は1回開催する予定であったが、新たな事例の追加及び共通分析セット(案)のとりまとめ作業が遅れたため、予定どおり実施できなかった。それに伴い、前述の結果を踏まえて、大学評価コンソーシアム会員を対象とした共通知に関するアンケート調査の準備が遅れたため、実施方法や活用方法を見直した上で2020年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度の実施状況を踏まえて、当初の計画を見直して研究を進める。 フェーズ①及び②では、研究会を開催し、現在まで取りまとめた共通的に見られる事象リストを確定させ、要因・解釈等と可視化例を示した共通分析セット(案)を完成させる。また、その共通分析セット(案)を用いて、IR担当者向け勉強会の実施方法等を検討するとともに、2020年秋以降の開催を目指す。この勉強会では、本研究会メンバーと参加者が、実践事例や活用時ノウハウの共有、経験が少ない担当者でも使えるような分析手法の検証等について意見交換を行いつつ、IR初級者へのPBL型研修の実施方法や課題解決に向けた手法の開発に取り組む予定である。フェーズ③に関しては、上記活動と並行して、大学評価コンソーシアム会員に対して共通知に関するWebアンケート調査を実施する予定である。 2020年度末までに研究会を開催し、上記で実施した勉強会の意見交換内容やWebアンケート調査の結果を議論した上で共通分析セットに反映させるとともに、共通知に関する実績をWebで公表する予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由として、2018年度は研究代表者及び研究分担者を中心に研究会を開催したが、2019年度は日程調整の結果や新型コロナウイルスの影響等により、研究会が1回しか開催できなかったこと、招集する研究協力者があまり参加できなかったこと、メール等によるコミュニケーションツールを活用して研究代表者及び研究分担者の出張費を抑制できたこと等が挙げられる。 2020年度は、当初計画で予定していた研究協力者が研究会に参加できるよう早めに日程調整を行うとともに、新たに開催する「勉強会」に参加するための旅費に使用する予定である。また、研究代表者及び研究分担者については、本勉強会の参加や共通知に資する情報収集(訪問調査等)のための旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)