2021 Fiscal Year Research-status Report
大学の数量的な「共通知」から分析マインドを涵養する人材育成プラットフォームの開発
Project/Area Number |
18K02706
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大野 賢一 鳥取大学, その他部局等, 教授 (90314608)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌田 敏行 茨城大学, 全学教育機構, 教授 (00400599)
岡部 康成 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (10413569)
小湊 卓夫 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (30372535)
藤井 都百 九州大学, インスティテューショナル・リサーチ室, 准教授 (50437092)
田中 秀典 宮崎大学, IR推進センター, 准教授 (50529253)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | IR / 共通知 / 共通分析セット / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、評価・IRの実務経験者が所属大学での実践事例を持ち寄り、その中から共通的にみられる事象や解釈等(以下、共通知という)を抽出し、分析業務に活用できるツール「共通分析セット」を作成すること、また、本ツールの活用により、我が国の大学におけるIR業務の定型化、IR人材の育成に取り組むことを目指している。本補助事業期間において、3つのフェーズ(①共通的事象の抽出及び分析パターンの体系化、②勉強会の開催及び共通分析セットの作成、③実用度アンケート調査の実施並びに共通分析セットの実用検証及び普及)において研究活動を展開する。 2021年度は、2021年1月に大学評価コンソーシアム会員を対象に実施した「共通知に関するWebアンケート調査」の結果について、共通的事象の妥当性に関する再考を行った。具体的には、共通知と回答した事象(設問)が当初想定していた件数より少なかった点、共通知と回答していても自由記述(共通知と考える理由等)を確認すると厳密には一致していない点等が明らかとなった。また、現場での状況を詳しく確認するため、アンケート調査に回答いただいた複数の大学等に対して聞き取り調査を実施するとともに、共通知の結果と各大学における相違点や共通点の把握に努めた。 2021年12月には研究分担者や研究協力者による研究会を開催し、上述の聞き取り調査結果や共通知の結果について議論を行った。また、新型コロナウィルス感染症の影響により開催できていないIR担当者向けの「共通知に関する研修会」の内容や実施方法についても検討した。その他にも、IR人材の育成に関連して、大学評価コンソーシアムが3年に1回実施している「IR(評価)担当者の知識、技能の実態調査」に協力し、調査結果の報告や情報誌「大学評価とIR」への投稿も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェーズ①については、2020年度までに共通事象リストの追加・更新、既存項目の精査等は概ね完了した。フェーズ②については、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初計画していたメンバーによる研究会(対面形式)は1回しか開催できておらず、IR担当者向け研修会に至っては全く開催することができなかった。特に、後者の研修会については、IR経験者を中心としたグループワークや討論を行うことがIR人材の育成には有効だと考えているため、今年度もやむなく開催を見合わせた。前者の研究会では、2022年度の研修会開催に向けて、共通知の結果を活用した研修会の実施方法について検討した。 共通知は、各大学等でなるべく共通となりそうな事象を対象としており、標準的なものとなるよう心がけて抽出し、設問として決定したが、実際の回答では全体的には一致しているものの、自由記述では各大学等においてデータ定義や前提条件、学部構成等が異なっている状況も見られた。また、現時点の共通知では、他大学との比較(ベンチマーク)には不向きであることも明らかとなった。各大学等では、他大学や同系学部と比較するためのデータ収集や分析を行っていないケースが多いと推察している。そのため、共通知の結果そのものと自大学の分析結果を単に比較するのではなく、それらギャップが発生した要因や背景について学内で議論することが共通知の活用として重要であると考えている。このような検討結果を踏まえた研修内容を考察することができたため、現在その準備を進めているところである。フェーズ③では、大学評価コンソーシアムが実施する各種イベントにおいて報告を行う。 以上の実施状況を総合的に判断して「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度の実施状況や新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえて、研究を進める。フェーズ②では、2021年度と同様、IR活動が活発な複数大学等に対して聞き取り調査を実施し、共通知の結果に対する各大学等でのギャップを把握し、個別事例の収集に努める。このように収集した個別事例を研修会の題材として追加しつつ、2021年度から準備を進めている新たな研修内容に反映させ、2022年秋以降にIR担当者向け研修会(対面式)の開催を目指す。フェーズ③では、上記で実施した研修会の実施状況や結果を踏まえた勉強会を開催するとともに、大学評価コンソーシアムが行うイベントでの発表や情報誌「大学評価とIR」への投稿を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
主な理由として、2021年度は研究代表者及び研究分担者による研究会は、新型コロナ感染症の影響や日程調整の結果等により、1回しか開催できなかったこと、研究代表者が一部の他大学への聞き取り調査及び研究会に参加できなかったこと、メール、オンライン会議システム等によるコミュニケーションツールを活用して研究代表者及び研究分担者の出張費を抑制できたこと等が挙げられる。 2022年度の使用計画は、新型コロナ感染症の影響にもよるが、複数の研究協力者がなるべく多く研究会に参加できるよう早めに日程調整を行い、研究会に参加するための旅費に使用する。また、新たに開催する「研修会」にもスタッフとして参加するための旅費に使用する。他にも、研究代表者及び研究分担者が、研究会や研修会への参加や共通知に資する情報収集(訪問調査等)のための旅費に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)