2018 Fiscal Year Research-status Report
高大接続に資する思考力・判断力・表現力育成のための教材開発に向けた国際連携研究
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18K02713
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
井下 千以子 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (60407757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴原 宜幸 開智国際大学, 教育学部, 教授 (30327275)
桂 啓壯 宮城学院女子大学, 一般教育部, 教授 (70265437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 思考力 / 判断力 / 表現力 / ライティング教育 / 教材開発 / 高大接続 / フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)フィンランドの高等教育に詳しいヘルシンキ大学副学長に、PISAで高成績をおさめた背景、思考力・判断力・表現力の育成、高大接続としての入試改革について、フィンランドの教育の実情と照らして、インタビュー調査をおこなった。 (2)フィンランドの小学校・中学校・高校の国語教師に、思考力・判断力・表現力の育成に向けた教育内容の工夫や教授法、大学院修士課程までに及ぶ教師の養成課程について、インタビュー調査をおこなった。また、各学校において授業観察を実施した。 (3) (1)と(2)の成果から、テキスト『思考を鍛えるレポート論文作成法[第2版]』(井下,2014)に、批判的な読み方、データベースの活用法、引用と剽窃の問題などを加筆し、さらに辞書のように使えるように索引を付けて内容を充実させ、『思考を鍛えるレポート論文作成法[第3版]』(井下,2019)を出版した。 (4)中高一貫校の高等部3年生を対象に、一連の学習成果、卒業研究の内容と作成過程、大学進学後の進路に関してグループインタビュー調査を行った。 (5)大学教育学会課題研究「学生の思考を鍛えるライティング教育の課題と展望」(2018~2020年度)に採択された。2018年度課題研究集会では、研究代表者として、本研究が高大接続とりわけ思考力・判断力・表現力育成を視野に入れ、大学では何をどう教えるのか、さらに大学での学習経験が職業キャリアにどう活きるかまで長期的な展望に立ち検討をおこなうものであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度のフィンランドにおける調査は、当初の計画よりも幅広い対象者に実施することができた。その他の計画はおおむね順調に進展している。また、申請時には予定していなかった大学教育学会課題研究に採択されたことにより、研究プロジェクトとして層の厚い研究活動が今後期待できる。 研究課題名:学生の思考を鍛えるライティング教育の課題と展望、研究代表者:井下千以子、研究期間:2018年度~2020年度。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次の2019年度の研究計画は次の通り。 (1)2018年度の成果を大学教育学会のラウンドテーブルや課題研究集会で発表し投稿する。 (2)2018年度にグループインタビューした対象者が、大学入学後に学習成果をどう捉えているか、高大接続の課題をインタビュー調査する。 (3)開発した教材を用いた授業での学習成果について質問紙調査をする。 (4)これまでの成果を教材開発に活かし、『思考を鍛える大学の学び入門-論理的な考え方・書き方からキャリアデザインまで』(井下,2017)を改訂した[第2版]を出版する。
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Causes of Carryover |
フィンランドでの調査においては、9月に大学での訪問調査を、1~2月に小中高校での訪問調査を実施した。計画より多くの教員から聞き取りを実施することが可能となり、成果を得ることができた。その結果、対象者への謝金、各学校への依頼を請け負うコーディネーターへの謝金、フィンランド語の通訳に対する謝金が、予算より超過した。本研究の重要な部分を担う海外調査であり、初年度の計画を上回る実質的な研究成果が得られたことによるものである。
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