2018 Fiscal Year Research-status Report
米国における大学教授職構造変動下の女性大学教員のキャリア形成支援システムの研究
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18K02715
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂本 辰朗 創価大学, 教育学部, 教授 (60153912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 女性大学教員養成 / 大学教授職 / フェローシップ / アメリカ女性大学人協会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、交付申請書にある、「個別大学における、女性教員への総合的なキャリア形成支援システム構築への先進的実践事例の収集・分析(課題Ⅰ)」と「全米的学術学会・団体が提供する、女性大学教員へのキャリア形成支援政策の基本的動向の解明(課題Ⅱ)」のふたつについて、以下の成果をあげることができた。 1.テニュア制の崩壊と大学教授職構造変動については多くの業績があらわれているが、申請者は、これらの先行研究をほぼもれなく収集した上で、その基本的動向を把握することができたと考えている。テニュア制度は、一方で、ladder faculty制度(正教授職への応募は、当該大学の准教授も可能とする制度)といった、従来の完全公募制を見直す動向も見られるが、基本的に崩壊の方向を辿ると思われる。 2.女性大学教員の増加のために、新たに有資格者を発掘し、その養成過程を支援するという、アメリカ女性大学人協会(AAUW)による女性大学教員養成支援プロジェクトについて、その成立から完了までを解明した。このプロジェクトは、女性大学教員養成にとって、ワーク・ファミリー・バランスが決定的に重要な意味を持つことを立証している。 3.大学教員のキャリア形成過程にとって、特別研究員(research fellow)への就任は、現在、理工科系の分野ではもちろん、社会科学・人文系の分野でも徐々に不可欠なものとなりつつあるが、前回の科研にて着手した、全米科学評議会(NRC)によるナショナル・リサーチ・フェローシップ(その後、世界各国で同種の制度のモデルとなる)成立の全貌を、今回、論文して公表することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、女性大学教員への総合的なキャリア形成支援システムの形成が本研究課題であるが、申請者はすでに、これと密接につながりのある研究を前回までの科研費でおこなっており、そこで公表するには至らなかった成果を、今回の科研にて完成させることができた。 次に、女性大学教員への総合的キャリア形成支援システムの構築に関わる情報収集のうち、①ドキュメント、②アーカイブズ文書、については、その現物あるいは所在確認はほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進行しており、研究計画の変更は必要を認めない。
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Causes of Carryover |
予算執行率が86.9%であるが、これは、一方で、本課題の研究費の中で大きな比率を占める旅費について、私費で賄った部分があったこと、他方で、主に英文資料の要約、整理をおこなう謝金について、その執行分が少なかったせいである。ただし、後者については次年度以降、大きくなる予定である。
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