2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Career Development Support System for Women Faculty under the Structural Change in the Professoriate in the U.S.
Project/Area Number |
18K02715
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂本 辰朗 創価大学, 通信教育部, 非常勤講師 (60153912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性大学教員 / 米国高等教育 / ジェンダー / テニュア制 / ファカルティ・ディベロプメント / 大学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ教授連合(AAUP)は、テニュア政策における「多様性・公正・包摂(diversity, equity, and inclusion [DEI])」改善のための組織風土改善に、大学がどのような努力をおこなっているのかを、三つの指標を設定して調査し結果を公表した(AAUP, May 2022)。(1)テニュア・スタンダードが上記DEI基準を含んでいるのか(「いる」が21.5%)、(2)過去5年間に、現行のテニュア・スタンダードが、潜在的バイアスを含んでいないか、点検が行われたことがあるのか(同上、39.4%)、(3)過去5年間に、昇進・テニュア委員会に入る教員が、上記の潜在的バイアスに関して研修を受けたことがあるのか(同上、40.0%) マイノリティとしての女性教員をめぐる問題に対しては、これまで、訴訟によって解決するという方式が多く取られてきた(AAUW Educational Foundation, 2004)が、マサチューセッツ工科大学(MIT)の事例は、大学内にタスク・フォースを創って対応するという方式が依然として有効であることを示した(たとえば、Wagner, Summer 2018.など)。今回、MITの事例に関する新たな研究が公表され(Zernike, 2023)、申請者は関係者にインタビューする機会をえた。この事例は、以下のことを示唆している。 ジェンダーと高等教育の問題を多様性への尊重の一環として捉えることは重要であるが、多様性の尊重が、高等教育をめぐる諸問題のバルカン化、すなわち、それぞれのマイノリティ集団が、それぞれの利害関係によって分断されていくことは警戒しなければならない。さらに、女性あるいはジェンダーというカテゴリーでの思考法は依然として有効であるが、それは、より善い大学教育への問との緊張関係の中で問われなければならない。
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