2018 Fiscal Year Research-status Report
アメリカのアクレディテーションシステムにおけるセルフスタディの定着と展開
Project/Area Number |
18K02721
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前田 早苗 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (40360739)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アクレディテーション / セルフスタディ / 地区基準協会 / オートノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な調査活動は、ワシントンD.C.にある議会図書館での資料の収集であった。現地に行く前に、これまでも実施してきた大学図書館および公立図書館の資料検索を継続的に行った。アクレディテーション団体の活動を把握する中心資料は、会報であるが、会報は、原典に当たらない限り、該当の記述があるかどうかが確認ができないため、検索では限界がある。検索結果を踏まえ、ワシントンDCの議会図書館で、南部地区基準協会の資料を中心に、地区基準協会の会報におけるアクレディテーション活動に関する記述の検索及び複写による資料収集を行った。 当初の目的であった南部地区基準協会の資料は、わずかに所蔵しているものの、協会の歴史に関する資料はなかったため、ニューイングランド地区基準協会および北中部地区基準協会のProceedingsの複写を行い、これまで継続して収集してきた資料の充実に努めた。 これまでの研究では、セルフスタディが開発された経緯とその方針の全体像を明らかにしたが、その後の定着に関わる資料は十分に収集できていなかったからである。 なお、他の検索手段により、南部地区基準協会の歴史に関する資料を入手することができた。現在その資料から同協会のアクレディテーション開始に関わる背景、他の基準協会との共通点、地理的特性による南部地区固有の発展状況に着目しつつ、特にアクレディテーションを導入したのがどのような立場の人物であったのか、大学関係者が自発的・自立的にアクレディテーションの導入・発展を支えてきたという仮説の検証に努めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アメリカの高等教育におけるセルフスタディの定着とセルフスタディの展開を明らかにすることを目的としている。セルフスタディは、アメリカを代表し、世界でも導入が進んだ大学評価システムであるアクレディテーションの中心的なプロセスである。そのアクレディテーションの実施については、すでに2つの地区基準協会(ニューイングランド地区基準協会、北中部地区基準協会)の成立過程を明らかにしている。今年度は、この2つの基準協会に加え、さらに南部地区基準協会の歴史に関する資料の収集が第一の目的であった。 まず、インターネットによる資料検索(主に資料所蔵検索)を行い、その後、議会図書館でセルフスタディの定着と展開、具体的な実施状況に関する資料収集を行った。 その結果、南部地区基準協会に関する資料には歴史的な記述はなかったため、すでに設立の経緯を明らかにしている他の2つの地区基準協会に関する資料の収集に努め、すでに保有している資料の拡充を図った。 南部地区基準協会の歴史については、他の検索により、資料を一定程度入手することができた。 これらの資料から、南部地区基準協会については、成立史とその後の活動状況について、他の2つの基準協会については、アクレディテーションにおけるセルフスタディの定着と展開に関わる資料読みを進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度についても、引き続き、アメリカの大学図書館での資料収集を計画している。対象となるのは、公立図書館と大学図書館である。南部地区基準協会の資料を保有している図書館は多くないため、ニューイングランド地区基準協会、北中部地区基準協会の資料を中心に収集する予定である。これまで収集してきた両協会の資料は、1800年代末から1940年代にかけてのものである。アクレディテーションにおいてセルフスタディが本格的に導入されるのは、第2次世界大戦以後であるため、1945年から1960年頃の資料を中心に収集する。資料の保有状況により、ハーバード大学図書館または、ニューヨーク公立図書館のいずれかで資料調査を行うことを予定している。 収集した文献については、年表の作成、当時の会報に掲載された論文や理事会等の議題から、当時のアクレディテーション活動や高等教育の課題を把握することに努める。これらの分析を通して、アクレディテーションの普及とそこに関わる大学関係者の意識を明確にしたい。
|