2018 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるハラスメント相談対応システムの問題解決機能強化に関する実証的研究
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18K02727
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横山 美栄子 広島大学, ハラスメント相談室, 教授 (50259660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 やよい 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (20723365)
北仲 千里 広島大学, ハラスメント相談室, 准教授 (60467785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セクシュアル・ハラスメント / アカデミック・ハラスメント / キャンパス・ハラスメント / アクションリサーチ / 介入モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず、大学でのハラスメント相談対応における「処罰」モデルに対する「介入」モデルの有効性を検証すること、さらには相談対応システムの問題解決機能強化に必要な資源を明らかにすることをめざし、今年度は「介入モデルによる問題解決実態の定量的把握のために調査票調査を行うこととしていたが、調査項目を厳選するために今年度は、質的調査を優先して行った。大学のハラスメント相談員を対象に、研究会およびインタビュー調査を行い、現場での相談対応事例をもとに、分析枠組を検討した。特に相談受付以降に具体的に採られている対応プロセス、相談員や担当者のもつ資源(職位、資格、権限、援助技術等)、組織の意思決定手続と、問題解決との関係について検討することができた。 実際に専任相談員が置かれている大学では、相談員に一定の権限が与えられ、介入モデルでの問題解決が図られる傾向がある。一方、教員や職員のなかから相談員を任命し、相談にあたらせている大学では、介入モデルが導入しにくく、処罰モデルになりがちな傾向が見られた。ただし専任相談員が置かれているところでも、相談員の権限が限定的で介入モデルが有効に働いていないと思われる大学もあった。また、最近では外国人学生や社会人学生などの非伝統的な大学構成員への支援が求められているが、十分に対応できていない現状も確認された。これらの知見は、31年度実施を予定している量的調査の調査項目を決定する上で非常に役だった。 一方、湯川がソウル国立大学で行った招待講演において、「職場いじめ」研究第一人者であるL キーシュリー教授との議論では、大学におけるハラスメント問題が共通の基盤で論じられることが確認でき、今後の国際的な調査研究の展開に有効であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では初年度には量的調査を実施することとしていたが、効果的な量的調査とするために、質的調査を先におこなうこととし、成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の早い時期に量的調査を実施する。 大学相談員との事例検討会を通じて、聴き取りを実施予定である。
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Causes of Carryover |
郵送による量的調査を計画していたが、次年度(2019年度)に実施することとしたため
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