2018 Fiscal Year Research-status Report
大学職員の内発性に基づく役割モデルの再構築に向けた日・韓・台比較研究
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18K02732
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
深野 政之 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40552758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10333585)
林 透 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (20582951)
菊池 芳明 横浜市立大学, 教育推進課, 学務准教授 (60347193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 台湾の大学 / 大学職員論 / 大学ガバナンス改革 / メンバーシップ型雇用 / 職員採用 / 人事異動 / 事務局体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画1年目では、学会大会等で研究の趣旨と研究計画について報告(口頭発表2回、ポスター発表1回、分科会1回)するとともに、研究実施計画の具体化を行った。 当初計画では韓国の実地調査を予定していたが、連携協力学会との調整により、2回にわたり台湾の9大学及び教育部を訪問し、現地教職員へのインタビューと意見交換を行った。 調査大学における職員および職員組織の特徴として、1)ジョブを特定して契約、2)一部大学での(定期またはアドホックの)人事異動、3)事務組織のトップは教員、が挙げられた。 台湾では「大学法」及び人事・会計関連法の規定により、会計と人事担当部署については専門職(教員含む)であることが必要であり、特に国立大学では考試院(日本の人事院)により任用され、教育部直轄の人事が行われている。さらに1990年代までは教務長及び学生事務長も教員を充てるとされていたことから、国立、私立大学とも、事務部署のトップは教員が兼務することが一般的とのことであった。これ以外の、契約によって採用される一般職員の多くは女性であり、給与も低いとのことであった。 また日本の大学に一般的に見られる学内組織としての「事務局」は存在しないことが指摘された。研究計画作成段階ではあまり重視していなかったが、職員が学内に職員のみで構成され人事権も持つ独自組織を有しているという点は、日本の大学ガバナンスを考えるうえで重要なファクターではないかという認識を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では訪問調査を1回としていたが、関連学会・研究会との共同により、日本台湾教育センターの支援を得て、2回にわたって現地訪問調査ができた。 これにより、台北地区と台中・台南地区の9大学での教職員とのインタビューと意見交換、さらに教育部でのミーティングができたことによって、台湾の大学における職員および職員組織の特徴について詳細な知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年目においては、韓国の大学を訪問して職員および職員組織について現地教職員と意見交換を行う。既に関連学会・研究会との共同により、慶煕大学校に調査コーディネートを依頼して、ソウル地区の数大学を招聘して国際研究集会(8月)を開催する予定である。 台湾・韓国と日本との比較においては、大学ガバナンス全体における事務組織の役割、権限、職員の処遇、ジョブ型採用とメンバーシップ型人事異動の組合せがどの程度一般的か、その場合の職員の「能力」とはどのようなものか、高等教育政策上の職員や事務部門の位置付け等について、さらなる調査、検討を行うこととする。
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Causes of Carryover |
研究分担者である北海道大学・光本滋准教授に台湾での調査出張(2018年12月)への同行を依頼し、分担金を配分していたが、同日程に本務大学の用務出張が入り、本科研課題による出張ができなかったため。 翌年度使用額は、2019年度に予定している韓国調査出張にて使用する計画である。
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Research Products
(3 results)