2018 Fiscal Year Research-status Report
「経験省察型」卒業論文・修士論文指導モデルの開発研究
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18K02733
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Research Institution | Seisa University |
Principal Investigator |
三輪 建二 星槎大学, 教育実践研究科, 教授 (50212246)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会人大学院生 / 専門職大学院 / 経験知 / 経験省察 / 省察的実践 / 先行研究 / リサーチペーパー / 専門職学位 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)インタビューの実施:2018年9月から2019年1月にかけて大学院修士課程・専門職大学院11、大学院教員11名、大学院生・修了生6名の合計17名に半構造化インタビューを実施した。 (2)インタビュー調査結果の概要 ①履修体制への柔軟なアプローチ:履修制度の整備の中に、大学教員のライフヒストリーを背景とする考え方が示されている。ある私立経営系大学院教授は研究科長としてカリキュラム改革を実施し、複数開講、オンライン授業と通学授業の併用など柔軟なカリキュラムを組んでいる。 ②実務家教員からの実存的な問い:ある私立経営系大学院教授・研究科長は、MBAの取得のみならず、ビジネスパーソンとして何を矜持として身につける必要があるのかを問い続ける「志」系の科目を必修科目に設定している。他の経営系私立系経営系大学院教授もあるべき経営者像を提示し、伝記なども読み合う経験省察的な授業を実施している。また実務家教員の何名かが、自分の立場を「橋渡し役」と自覚している。橋渡し役には、経営学を実践および実務へと橋渡しする「翻訳者」(私立系経営系大学院教授)であると、みずからを位置づける実務家教員もいる。 ③女性の大学教員と社会人大学院生からのアプローチ:今回のインタビュー調査でのもうひとつの発見は、女性の大学教員および女性の社会人大学院生からの経験省察的な問題提起があったことである。ある私立生活科学系大学院教授は、自然科学系であるとはいえ、授業や論文指導の中で、「生命・命」に関わる実存的な問いを投げかけることで、社会人大学院生の生き方やアイデンティティにつながる経験省察的な考察とディスカッションを促している。ある経営系専門職大学院の女性大学院生は、女性社員が男性社員と平等な立場で仕事をすることの困難さを指摘し、院でのフラットな議論の効用を評価している。調査結果は、2018年度内に2回研究会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度内に、11の大学院、16名の大学院教員・社会人大学院生に半構造化インタビューを実施することができた。テープ起こしも終了し、インタビュー結果を分析し、2019年度の学会発表の準備までは行えている。 英国リンカーンカレッジ訪問は来年度とし、2018年度は釜山国立大学で、インタビュー調査の中間発表を行った。 今年度の課題は、学部段階の教員・社会人大学生のインタビュー調査が実施し切れていない点である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度の半構造化インタビュー調査結果を学会・研究会等で発表し、研究論文にまとめることを計画している。 また、2018年度に実施しなかった英国(イングランド)のリンカーンカレッジ教員であったナンシー&キース・アップルヤード先生夫妻を国内に招待し、現職教員向けの大学院教育とカリキュラム開発について、およびアクションリサーチに基づく実践研究の講演とワークショップを実施する。日本における修士課程・専門職学位課程における、経験省察型の専門職養成カリキュラム・論文指導を比較検討する予定である。
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Research Products
(6 results)