2019 Fiscal Year Research-status Report
教学IRを基盤とし,LMSを活用したラーニングアナリティクスによる授業改善
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18K02740
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 秀雄 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (70208221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教学IR / LMS / ラーニングアナリティクス / 科学技術者倫理 / 研究倫理 / 科目間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は研究2年目であり、本研究の本格的な進展が期待された。ただし担当者は本年度まで入試部長、大学院工学研究科専攻共通主任、および科学技術応用倫理研究所所長の職にあり、管理職として行政事務に忙殺された。そのため残念ながら、研究は当初予定通りに進展しなかったことを認めざるを得ない。 そこで本年度は前年度に引き続き、研究遂行に必要な事項の整備に注力した。具体的には、まず、研究そのもの(特に学生を対象とした調査内容)と、研究遂行に不可欠のLMS(学内「eシラバス」)の整合性を再検討するとともに、この問題についてLMS管理者と協議、調整した。その結果、多少の問題は残るものの、原稿のeシラバスと研究活動に大きな問題はなく、予定通り研究を実施可能であることを確認した。また予備的なシステム運用を行い、実際に問題がないことを確認した。なお、当初利用を予定していたe-ラーニングシステム「アゴラ」については、ほぼ同内容をLMS上で運用できることが確認されたため、利用しないこととした。 次に、そもそも本研究は人間を対象とした研究であり、研究倫理面でも細心の注意を払う必要がある。加えて学内の研究倫理に関する制度も一部変更されたため、研究計画を再精査した上で、研究倫理委員会に研究計画を承認し、多少の修正の後、研究計画は承認(承認番号:20-1-004)された。これにより研究倫理に関する問題はすべてクリアされた。 研究の背景および研究内容については今年度も研究が大きく進展した。その結果を学内外において、招待講演3件を含めて発表した。同時に、研究者間のネットワークを整備することができた。 上記に必要な資材類については、研究の遅れを考慮し、購入は最低限必要な機材およびソフトウェア類に限定した。 これにより、研究の遂行が遅れてはいるものの、次年度からの円滑な研究進展に向けるすべての準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,思想的,利点的には米国のプラグマティズムに基盤を置く経験主義教育思想を現代化したものである.これは第二次世界大戦終了後日本に直輸入されて,少なくとも表面的には教育体制を一変させた.しかし日本がそれまで維持してきた知識注入型,系統学習型の教育システムとは全く異なるものであったため,我が国にはなかなか根付かなかった.「這いまわる経験主義」あるいは「這いまわる社会科」と評される社会科教育がその象徴である.科学教育や工学教育においても事態は同様であり,学習者中心の経験主義的アプローチは昭和30年前後に大きく衰退した. 他方,米国ではスプートニクショックをきっかけとして一時,系統学習型の科学教育が力を得た.「PSSC物理」がその代表である,CBA,CHEMS,BSSB他が続き,これらは我が国中等教育の『学習指導要領』にも大きな影響を与えた.しかし米国教育の根幹はやはり経験主義教育であり,科学教育においてもラザフォード、ホルトン、ワトソンらによる“Harvard Project Physics”(「プロジェクト物理」)やHOSC物理など,それまでにない複合型の教材を使用する経験主義教育が現れた.これらは我が国においても『理科Ⅱ』という形で影響を与えている.すでに学問的な蓄積もあり,これらの過程を明らかにすることにおいて,研究は大きく進展した. 「研究実績の概要」でも述べたように、ハードウェア面およびソフトウェア面の整備が遅れていたが、こちらも順調に準備を完了することができた。また、研究遂行に必要なサイトも、従来のものから、レンタルサーバーを利用した専用のサイト(独自ドメイン)に年度内に移行し、アクセス状況の分析を可能にした。 以上により、次年度からの研究推進のための障害はすべて解消された。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」でも述べたように、ハードウェア面およびソフトウェア面の問題はすべてクリアされ、研究内容を精査した上で研究計画を研究倫理委員会に申請して、承認を得ることができた。これにより、遅れはあるものの、研究遂行に関する準備はすべて完了した。 そこで次年度は、精査し、また研究倫理委員会の承認を得た内容で、毎回の講義においてLMSをリアルタイムでLMSを用いてアンケートおよびクイズを実施し、その結果を数値およびテキスト(CSV形式)で講義終了直後に獲得する。その上で、必要に応じてコメント等を付した上で、講義のサイト(独自ドメイン)で公開する。サイトへのアクセス状況については、1日単位、および月単位での分析が可能であり、講義実施日と非実施日のアクセス状況等を比較する。さらに学期末には、当初予定通りアンケート調査により受講生から本方式による評価を得て、その内容を分析する。 なお、当初予定では外部サーバーを用いたe-ラーニング市システム「アゴラ」を用いる予定であったが、学内LMSでほぼ同等の機能を実現できることが判明したため、「アゴラ」には接続せず、研究の遂行はすべて学内LMSで完結させる。 同時に、本研究の背景となる思想について研究を進め、上記研究実施内容およびその結果とともに学会発表および学会誌への投稿等を行う。すでに次年度の学会発表については申し込みを完了した。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究準備が中心となったこと、実際の支出は翌年度になることが予想されたため、当該年度内の支出は必要最低限に抑え、資金を翌年度に回した。 研究が当初予定より遅れていること、またそれに伴い当該年度内の支出が計画通りに行かなかったことは遺憾であるが、資金の有効利用という面からすると大きな問題はないと思料する。
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