2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Curriculum and Pedagogy for Community Engagement Based on Relational Models of Citizenship Cultivation
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18K02742
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山口 洋典 立命館大学, 共通教育推進機構, 教授 (90449520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 亨 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20706626)
秋吉 恵 立命館大学, 共通教育推進機構, 准教授 (00580680)
宮下 聖史 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (70755511)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | COVID-19 / ピアサポート / リアル / バーチャル / 体験学習 / リフレクション / ジャーナル / ルーブリック |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、改めて本研究の本質である市民性涵養について、オンラインを活用したネットワーキングとコラボレーションを通じて、COVID-19下での新たな実践と過年度の取り組みとを比較検討した。特に、サービス・ラーニングの特徴である地域と大学を往還する学びの提供や学生同士の支え合い上でのリスクコミュニケーションについて取り上げる機会を創出した。 実際、例年開催してきた立命館大学VSL(ボランティア・サービスラーニング)研究会では、年間テーマの「ピアサポート」の観点から、地域団体とのボランティア・コーディネーション活動の意義・課題・展望について、大学間を横断して幅広い参加者のもと、5回の開催を通して検討した。また、こうした年間を通した連続研究会の展開に加えて、11月29日にはJOELN(大学教育における「海外体験学習」研究会)2020年次大会の開催に協力し、「体験学習を再考する-コロナ禍の経験を踏まえて」というテーマのもと、リアルとバーチャルの二分法に依拠しない学習環境のあり方について各種実践をもとに整理することができた。 一方、日常の教育実践では、2019年度に本研究のメンバーが出版に貢献した「リフレクション ハンドブック-深い学びと出会うために-」を教育実践に活用した。その知見は日本サービス・ラーニング・ネットワーク(JSLN)の運営メンバーにも共有され、国内ネットワークの維持・発展の一助となった。 なお、研究成果の発表としては、第27回大学教育研究フォーラムでの発表や第22回国際ボランティア学会などで発表する機会を得た。2019年度から取りまとめてきたサービス・ラーニングの学習記録(ジャーナル)への評価観点をまとめたルーブリックに関する学術論文を投稿し改稿を重ねている他、継続して対人援助学会「対人援助学マガジン」にて参加型学習の理論と方法論に関する連載が続けられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、2019年度末に想定していた以上に本研究の計画推進に大きな影響がもたらされた。発表が決定していたデンマークでの国際学会「PAN-PBL(Association of Problem-Based Learning and Active Learning Methodologies)」も1年の延期となった他、実践的研究として継続的に足を運んできたフィールドへの往訪も控えることになった上、そもそも対面での対話的な学びを前提とするサービス・ラーニングの教育実践そのものが例年どおりの展開がままならないものとなった。 しかしながら、前掲のとおり、オンラインでの学習環境がコロナ禍を経た「新しい日常」としての教育実践として導入・展開されたことに伴い、当初の計画には含まれていなかった観点ながら、積極的に研究のテーマとして取り上げることができた。具体的には、学生の履修行動の変化、各種ビデオ会議システムを通じた同期型のコミュニケーションのあり方、オンデマンド学習による非同期型の授業運営による現場探究の促進方法など、オンラインでの学習環境を単なる代替手段ではない形で整備・活用するための方策について検討することができたため、当初の計画以上に進展していると捉えることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策としては、研究期間も後半に入ったことを踏まえ、計画調書に記した観点と2020年度においてコロナ禍により研究の視点・観点・対象の拡張が図られたこととの整合を図っていくことが最も大きな課題として位置づけられる。したがって、当初から主たる研究対象としてきた立命館大学における全学教養教育におけるサービス・ラーニング科目の過年度受講生の学びと成長調査により、受講生のキャリア形成へのバリエーションの解釈・措定に取り組むこととしたい。 また、PBLをはじめとして、サービス・ラーニングと類似・関連する教育法の枠組みを整理すると共に、サービス・ラーニングの概念の普及の方策を検討する。人口減少社会ということもあり、地域活性化のアイデア等が募集・歓迎される状況が続く中では、特に学習者の成長と現場のベターメントやエンパワーメントとの均衡が図られることの意義についての理解が深まるようなツールが求められていると捉えている。 加えて、学習者自身による体験の言語化を通じた言説を手がかりに、計画調書に盛り込んでいたスキルセットを検討していく。これにより、モデルシラバスや成績評価観点の提示、その他教職員の介入(インタラクション・インターベンション)のポイントの明確化、さらには関係性の醸成を図るパートナーとのコミュニケーションのあり方が可能となろう。
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Causes of Carryover |
2020年度開始当初には決定していなかった米国・ミネソタ大学での「International Association For Research on Service Learning and Community Engagement」(国際サービスラーニング・地域貢献学会)が6月4日付で開催延期となり、海外旅費の執行が必要とされなくなった。COVID-19の長期化により、今後も旅費としては必要とされなくなることを射程に入れつつ、オンライン開催となった場合の発表内容の水準の向上のための経費として効果的に使用することとしたい。
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Research Products
(12 results)