2018 Fiscal Year Research-status Report
レット症候群児(者)の手の常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法の開発
Project/Area Number |
18K02761
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
平野 大輔 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (90572397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
後藤 純信 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (30336028)
谷口 敬道 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (90275785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レット症候群 / 常同運動 / 上肢機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、レット症候群児(者)に見られる手の常同運動を減らす取り組みの実態について明らかにすることを目的に、2016年度調査の結果の整理を行った。 本調査では216名(年齢3-53歳、横地分類A1-E6)のレット症候群児(者)の情報を得ることができた。手の常同運動を減らす取り組みが行われていた事例は104事例、行われていなかった事例は104事例と同数であり、横地分類、年齢、目的的な手の動き、手の常同運動の増加因子、手の常同運動の減少因子、上肢装具の点において、両群に著明な違いは示されなかった。常同運動を制止する取り組みは24事例、手の使用を促す取り組みは46事例であり、常同運動を制止する取り組みに比べ、手の使用を促す取り組みは多く行われていた。目的的な手の動きが見られる児(者)に対しては、手つなぎ等の手を使う内容が多かった。横地分類A1~A6の児(者)に対しては、感覚刺激を用いた取り組みが多く行われていた。 本結果から、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす取り組みを行うか行わないかは介入者次第であることが示された。取り組みが行われていた事例については、手の常同運動があったとしても目的的な手の動きが確認できることや、玩具のスイッチ操作等はできるといった事例が報告されていることから、目的的な手の動きが多く出るような取り組みが日常的に行われていたためであると考えられる。横地分類A1~A6の児(者)に対しては、感覚刺激を用いた取り組みが多かった。これは、横地分類A1~A6の知的発達が言語理解不可とされるため、言語を用いたコミュニケーションではなく、感覚刺激を用い、対象児(者)の応答性を丁寧に観察し、応答性を深め応答性の幅を広げていくためのやり取りが多く行われているためと考えられる。事例毎に様々な取り組みが行われていたため、今後は個別の検討が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、国内に1,000名以上と推定されるレット症候群児(者)の手の常同運動を減らす効果的で具体的な介入方法を開発することを目的に、以下の4つの研究を行う。研究①として全国調査によって、手の常同運動を減らす具体的な介入方法を抽出する。研究②として動作解析から、常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標を導く。研究③として脳機能測定から、常同運動が減る時の脳活動の状態を可視化する。研究④として研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、効果的で具体的な介入方法を示す。 2018年度においては、研究①全国調査による手の常同運動を減らす具体的な介入方法の抽出について、2016年度調査の結果の整理を行い、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす取り組みを行うか行わないかは介入者次第であることが示された。取り組みが行われていた事例については、手の常同運動があったとしても目的的な手の動きが確認できることや、玩具のスイッチ操作等はできるといった事例が報告されていることから、目的的な手の動きが多く出るような取り組みが日常的に行われていたためであると考えられる。横地分類A1~A6の児(者)に対しては、感覚刺激を用いた取り組みが多かった。これは、横地分類A1~A6の知的発達が言語理解不可とされるため、言語を用いたコミュニケーションではなく、感覚刺激を用い、対象児(者)の応答性を丁寧に観察し、応答性を深め応答性の幅を広げていくためのやり取りが多く行われているためと考えられる。事例毎に様々な取り組みが行われていたため、今後は個別の検討が求められる。特に保護者を対象とした調査を予定する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、国内に1,000名以上と推定されるレット症候群児(者)の手の常同運動を減らす効果的で具体的な介入方法を開発することを目的に、以下の4つの研究を行う。研究①として全国調査によって、手の常同運動を減らす具体的な介入方法を抽出する。研究②として動作解析から、常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標を導く。研究③として脳機能測定から、常同運動が減る時の脳活動の状態を可視化する。研究④として研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、効果的で具体的な介入方法を示す。 2019年度以降、研究①を保護者対象に行う予定である。研究②として常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標の決定として、健常成人約30名の予備実験後、レット症候群児(者)約50名を対象に、手の常同運動の映像を記録する。その映像から動作解析を行い、各関節の動き、速度、角度などから常同運動の変化を定量的に評価できる指標を明らかにする。研究③として常同運動が減る時の脳活動の状態の可視化として、健常成人約30名の予備実験後、レット症候群児(者)約50 名を対象に、通常の常同運動時と常同運動が減る時の前頭前野や運動関連領野の脳活動を、機能的近赤外分光法(fNIRS)や脳波を用い測定・比較し、常同運動が減る時の脳活動の状態を明らかにする。研究④として常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法の決定として健常成人約30名の予備実験後、レット症候群児(者)約50名を対象に、研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2018年度実施予定であった調査の前段階として、2016年度調査結果を整理したことにより、2018年度調査が遅れたためである。 使用計画は、2018年度実施予定であった調査を2019年度計画に加えて行う。
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