2019 Fiscal Year Research-status Report
レット症候群児(者)の手の常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法の開発
Project/Area Number |
18K02761
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
平野 大輔 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (90572397)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
後藤 純信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30336028)
谷口 敬道 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (90275785)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | レット症候群 / 常同運動 / 上肢機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす効果的で具体的な介入方法を開発することを目的に、以下の4つの研究を行う。研究①として全国調査によって、手の常同運動を減らす具体的な介入方法を抽出する。研究②として動作解析から、常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標を導く。研究③として脳機能測定から、常同運動が減る時の脳活動の状態を可視化する。研究④として研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、効果的で具体的な介入方法を示す。 2019年度においては、2018年度に引き続き、研究①を行うために2016年度に実施した調査の結果の整理から調査項目の検討と抽出を行い、研究②と研究③を行うための準備を行った。 研究①については、2016年度に実施した調査の結果からは、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす取り組みを行うか行わないかは介入者次第であることが示された。取り組みが行われていた事例については、手の常同運動があったとしても目的的な手の動きが確認できることや、玩具のスイッチ操作等はできるといった事例が報告されていることから、目的的な手の動きが多く出るような取り組みが日常的に行われていたためであると考えられ、これらの取り組みの具体的な内容が含まれるような調査項目を作成することが有用であることが示された。また、事例毎に様々な取り組みが行われていたため、個別の取り組みを抽出できる調査項目の検討が求められる。研究②と研究③については、健常成人における検討から手の常同運動や知的な遅れに対する対応が求められ、今後の検討課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、レット症候群児(者)の手の常同運動を減らす効果的で具体的な介入方法を開発することを目的に、以下の4つの研究を行う。研究①として全国調査によって、手の常同運動を減らす具体的な介入方法を抽出する。研究②として動作解析から、常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標を導く。研究③として脳機能測定から、常同運動が減る時の脳活動の状態を可視化する。研究④として研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、効果的で具体的な介入方法を示す。 2018年度、2019年度において、研究①については、全国調査によるレット症候群児(者)の手の常同運動を減らす具体的な介入方法の抽出について、2016年度に実施した調査の結果の整理を行い、レット症候群児(者)の保護者を対象とした具体的な取り組みと事例毎の取り組みの違いを抽出できる調査の準備を整えてきているが、現時点ではまだ調査が行えず当初計画から遅れている状況である。そのため、準備が整い次第調査を行う予定である。 2019年度において、研究②と研究③については予備実験として健常成人を対象とした検討を行ってきている。研究②については、レット症候児(者)の手の常同運動の映像から動作解析を行い、各関節の動き、速度、角度などから常同運動の変化を定量的に評価できる指標を検討している。研究③については、日常のレット症候児(者)の手の常同運動時と常同運動が減る時の前頭前野や運動関連領野の脳活動を測定するために、機能的近赤外分光法や運動関連脳電位等の測定や解析を準備している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、当初の計画通りにレット症候群児(者)の手の常同運動を減らす効果的で具体的な介入方法を開発することを目的に、以下の4つの研究を行う。研究①として全国調査によって、手の常同運動を減らす具体的な介入方法を抽出する。研究②として動作解析から、常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標を導く。研究③として脳機能測定から、常同運動が減る時の脳活動の状態を可視化する。研究④として研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、効果的で具体的な介入方法を示す。 2020年度以降は、研究①をレット症候群児(者)の保護者を対象に行う予定である。研究②として常同運動の変化を定量的に評価できる運動学的指標の決定として、健常成人での予備実験後、レット症候群児(者)約50名を対象に、手の常同運動の映像を記録する。その映像から動作解析を行い、各関節の動き、速度、角度などから常同運動の変化を定量的に評価できる指標を明らかにする。研究③として常同運動が減る時の脳活動の状態の可視化として、健常成人での予備実験後、レット症候群児(者)約50 名を対象に、通常の常同運動時と常同運動が減る時の前頭前野や運動関連領野の脳活動を、機能的近赤外分光法(fNIRS)や脳波を用い測定・比較し、常同運動が減る時の脳活動の状態を明らかにする。研究④として手の常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法の決定として健常成人での予備実験後、レット症候群児(者)約50名を対象に、研究②の運動学的指標と研究③の脳活動の状態をもとに、研究①から抽出された介入方法の効果を検証し、常同運動を減少させる効果的で具体的な介入方法を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究代表者の所属施設とその周辺、研究対象者及び研究代表者の実家が令和元年台風第15号及び第19号並びに令和元年10月25日に発生した大雨の影響により被災したことと、新型コロナウイルス感染症拡大防止により、2019年度実施予定であった調査及び実験等が遅れたためである。 使用計画は2019年度実施予定であった調査及び実験を2020年度計画に加えて行う。
|