2019 Fiscal Year Research-status Report
漢字書字障害特異的脳内機能ネットワークの解明と治療法開発
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18K02773
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
稲垣 真澄 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 部長 (70203198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 佳美 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 室長 (20436877)
軍司 敦子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (70392446)
江頭 優佳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 流動研究員 (10793200)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 書字障害 / 学習障害 / 脳磁図 / 視覚情報処理 / 逸脱反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度実施した日本人健常成人21名に対する、漢字熟語系列における逸脱検出時の脳磁場反応を今年度は精査した。逸脱の種類は同一単語のフォントの違いによるもの、熟語の正誤、更に偽字の要素違いとした。その結果漢字熟語の自動的な逸脱検出は、逸脱が漢字や偽字の形態変化を伴う際に、文字の形態認知を処理する左紡錘状回近傍領域において処理されることが明らかになった。加えて偽字・正字による発生源活動量の違いと、熟語の正誤による処理速度の違いが生じた。一方でフォントの違いによる逸脱(漢字の形態変化を伴わず輝度のみを変化させた場合)では逸脱検出や刺激の違いの判別は生じなかった。これらより、文字を刺激とした場合の自動的な逸脱検出は、形態変化を伴う場合に左紡錘状回近傍において、長期的な文字記憶との照合により生じることが分かった。本成果は国内外の学術大会にて発表済みで、現在国際誌への投稿準備中である。 続いて、健常小児において逸脱検出時に紡錘状回近傍の活動、つまり長期学習された文字記憶との照会が生じるかどうか、また、生じなかった場合、健常小児特有の逸脱検出反応の特徴はどのようなものかを捉えることを目的として健常小児18名に対して漢字熟語逸脱検出時の脳磁場反応の計測を実施した。更に、本研究の主眼となる漢字書字障害特異的脳内機能ネットワークの解明のため、学習障害小児10名に対しても同様の計測を実施した。逸脱の種類は健常成人データを参考に、同一単語のフォントの違いによるもの、熟語の正誤、更に偽字の要素違いとした。本データについては解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は脳磁図や視覚ミスマッチネガティビティ研究者との議論を踏まえて健常成人データに対する総括が出来た。また、健常・学習障害小児に対するデータの計測が出来た。これらより、健常成人・小児との比較検討を実施し、学習障害児の漢字熟語逸脱検出時の脳磁場反応の特徴の検討が可能となったことにより、順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常小児と学習障害、書字障害へのデータを解析し論文化を図る必要がある。得た知見を評価するにあたり、最先端の研究者との議論が必要であり、脳磁図所見の類型化とエビデンスに基づく書字指導法の提案を行うこととしたい。
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Causes of Carryover |
本年度は健康成人、健常児の検査協力謝金を計上したが、次年度も使用額が生じている。また、解析方法の議論のために次年度も引き続き研究者訪問があるため使用額が生じる。
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