2020 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケア児に対する教育・医療・福祉の連携体制構築に関する調査と研究
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18K02782
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉野 浩之 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (60438637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療的ケア / 特別支援教育 / 小児在宅医療 / 地域連携 / 実数調査 / 指導助言 / 指導医 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「医療的ケア児」についての都道府県内の実数の把握、学校における医療的ケアが困難な事例についての調査、並びに、医療的ケアにかかわる教育関係者および医療関係者への提言の3つの柱からなる。 初年度に、群馬県内における医療的ケアを要する子どもの数と居住市町村、および所属学校について調査した。就学児童・生徒(おおむね6歳以上18歳未満)については県教育委員会と協力し、また、未就学児は医療機関に対するアンケートの方法をとった。学校における医療的ケア困難事例については、県立特別支援学校における困難事例を中心にして、特に重篤な病態の医ケア児の検討を行っている。研究の2年度には、近年特に注目されつつある特別支援学校以外の一般の市町村立小中学校に入学する医療的ケア児が目立ってきていることから、「地元の一般の学校」での医療的ケアのニーズが急激に増加してきている。こうしたことから、研究3年度には、当初の研究目的には入れていなかった、「通常学校での医療的ケア」を喫緊の課題と考え調査を積極的に行うこととし、事例の収集を行った。さらに、研究の継続に伴い、学校を卒業する生徒も出てきていることから、卒業後の生活についても追跡を行う予定である。 しかし、昨年度からの新型コロナウィルス流行に伴い、学校・教育委員会・保護者との連絡が難しくなっていることから、困難事例の追跡や一般校での医療的ケアの詳細な調査は十分な成果を上げることができなかったため、今年度も継続研究としている。コロナ下ではあるが、一般校への指導助言を積極的に行い、実際の現場での調査も行う予定ができている。さらに、医療的ケアにかかわる教育関係者および医療関係者への提言については、これまでの研究および今後の検討の範囲で本年度の結果を踏まえてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において初年度に予定していた、現状の把握については順調に行われた。また困難事例についても引き続き検討を行っている。また「一般市町村立公立校の医ケア」の調査を追加しつつ行っている。一方で、実地調査は新型コロナウィルス感染の影響で令和2年度は行うことが難しかったが、令和3年度に入り、教育現場のニーズ拡大に伴い指導助言を実施している。こうした状況から、研究計画は進みつつあり、全体として計画は遂行しつつあるものの、やや遅延している判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の予定として、県内の医療的ケア児の実態把握、医療機関・教育機関・自治体や福祉との連携について、特別支援学校の在校生に加えてより深刻な状態と考えられる卒業生についての調査を追加しつつ行っていく。また、一般校の医療的ケアの現状についても、県教育委員会との連携のもとに把握しつつ、一般校の現場への指導助言を強化していく予定である。併せて、学校における困難事例について継続して調査を行っていくとと もに、市町村立の一般校の困難にも調査の幅を広げていく。さらに、困難例の中、特に亡くなった児童生徒の事例についても継続的に調査していく。 新型コロナウィルス感染の影響で、対面調査が大きく遅れているが、本年度は追加の研究項目である一般校での医療的ケアも含めた調査の継続を行うとともに、教育及び医療・福祉への提言について、まとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の影響で学会等の中止があり交通費が予定より少なかったことや、研究の継続の必要があり支出が当初予定より少なかった。一方、本年度の研究でこれらを後ろ倒しで行っていく予定である。
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