2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of databases for treatment and support of children who stutter
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18K02787
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 宏明 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50334024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 吃音 / 児童・生徒 / 指導・支援 / 課題・教材 / 言語障害通級指導教室 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)研究代表者の所属機関で実施した教育臨床相談の記録から、使用された課題の抽出とその効果の検証、(2)アセスメントプログラムの「在籍学級担任教員との連携・協力」で用いる吃音啓発ビデオ教材の試作を行った。 (1)では、24名の教育臨床相談記録を元に、これらで使用した課題を (a)吃音の言語・心理症状、活動・参加の状況、困り感・ニーズの把握、(b)吃音の勉強、(c)スピーチセラピー、(d)発話・コミュニケーションの指導、(e)その他、に分類した。また、使用した課題の効果を検証するために、使用した課題と教育臨床相談実施前後のコミュニケーション態度テストや活動・参加状況質問紙、環境状況質問紙(以下、テスト等)の推移との関係を検討した。(2)では、在籍学級担任教員の吃音の理解と吃音のある子どもの支援について解説した10分程度のビデオ教材を作成し、教員養成課程在籍の学生28名を対象にその効果の検証を行った。 その結果、(1)では、(ⅰ)ほぼ全ての回で(a)が行われている。(ⅱ)指導は、 (b)、(c)、(d)の順番で進められることが多い。(ⅲ)ただし、( a)で活動・参加に困難が認められた場合は指導初期であっても (d)が導入されることがある。(ⅳ)構音障害や言語・コミュニケーションの発達の遅れなどがある場合は(e)でこれらへの対応が行われる。(ⅴ)小学校低学年から指導を開始した者は、高学年になるにつれテスト等の結果が向上する(吃音の問題が少なくなる)場合が多い、等の結果が得られた。(2)では、ビデオ視聴前後で、(ⅰ)「吃音知識テスト」に有意な得点の上昇が見られる、(ⅱ)「吃音への認識や対応に関する質問紙」で吃音に対する理解や対応にポジティブな変化がみられる等の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画通りに、24名の筆者の所属機関で実施した教育臨床相談の結果から使用された課題の抽出とその効果の検証を行った。また、上記に加え、アセスメントプログラムの在籍学級担任教員との連携・協力で用いる吃音啓発ビデオ教材を試作し、教員養成課程在籍の学生を対象にその効果の検討も行った。 ただし、本年度は、当初計画していた通級指導教室担当教員へのアンケート調査及びインタビュー調査を行うための準備(調査に係る研究倫理審査受審及び、通級指導担当教員への調査協力の依頼)ができなかった。 上記を勘案し、現在までの進捗状況は、(2)おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画に基づき、通級指導教室担当教員への通級指導で使用している課題等を尋ねるアンケート及びインタビュー調査を実施すると共に、筆者の所属機関で試用している教育臨床相談で使用した課題と通級指導で使用している課題をアセスメントプログラムの枠組に基づき分類・整理した課題等データベースを作成する。 また、次々年度は、関連学会や当事者団体のシンポジウムや公開討論などで、課題等データベースに基づく指導・支援の妥当性や修正を要する点について意見を聴取すると共に、申請者の所属機関及び研究協力が得られた通級指導教室での試用を行う。なお、試用にあたっては、通級指導教室担当教員を対象とした課題等データベースに基づく指導・支援についての情報提供をするWebサイトを作成する。
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Causes of Carryover |
当初計画立案時に計上していた研究機材等が、研究代表者が既に所有の物品で賄えることがわかったため、当該機材の購入を見送った。また、当初予定していたアンケート調査及び課題等データベースに基づく指導・支援についての情報提供に用いるWebサイトの構築を次年度に変更とした。さらに、国際学会発表旅費について、日本国内で開催された国際学会に参加したため当初想定の経費を要しなかった。 次年度は、今年度構築できなかったWebサイトを構築し、今年度作成した在籍学級担任教員を対象とした吃音啓発ビデオ教材等も公開するとともに、通級指導教室担当教員へのアンケート調査及びインタビュー調査に要する費用(インタビューに要する旅費など)に本年度未使用額を充当する計画である。
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Research Products
(4 results)