2019 Fiscal Year Research-status Report
発達性ディスレクシアの神経基盤の解明と早期発見・介入の試み
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18K02788
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
巨田 元礼 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (60739001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員准教授 (00377459)
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員 (50756814)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発達性ディスレクシア / 読字リスクの早期アセスメント / 早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療機関で発達性ディスレクシア(developmental dyslexia; DD)と診断されている児に、早期発見を目的に就学前に神経発達症(Neurodevelopmental disorders; NDD)の診断で受診している年長児に読字能力の評価(読字リスクの早期アセスメント)を行い、それらの児が就学後にDD診断ガイドライン検査において、どのような結果を示すか前向き研究を行った。その成果として、1年生の8~9月は特殊音節習得前であり、流暢性を読みの速度で評価することを基本とするガイドライン音読検査によるDD診断は困難であることを、2019年4月に第122回日本小児科学会で『年長時に読字リスクの早期アセスメントを実施した児の小学1年生での読字能力の調査』の発表を行った。 2019年9月には、15th Asian Oceanian Congress of Child Neurologyで、『Clinical manifestations of children with neurodevelopmental disorders whose siblings have developmental dyslexia』の発表を行った。 また、2019年11月には、第122回日本小児精神神経学会で、読字障害の疫学的研究:幼児期から成人までの縦断的研究『1:クリニックでDDと診断された児童308例の背景因子』、『2:幼児期から療育を受けた児童におけるDDの早期発見に関する研究』、『3:中学生時代における学習成績とメンタルヘルスの問題』の発表を行った。 定型発達児とDD児の安静時機能的MRI(resting-state functional MRI: rs-fMRI)による解析や、脳波の非線形解析については、次年度以降に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
rs-fMRIや脳波検査を就学前の児童に行うにあたり、十分な時間の確保が困難であり、検査を進めることができない状況にある。また、就学前の年長児に対する読字能力の評価については、被検者の選択に時間を要したため、NDDの診断で医療機関を受診している児童に限ったものとなった。 本年度に行った研究では、NDD診断のある児の場合小学校1年生の早い段階では、DD診断を行うことが困難であり、読字リスクの早期アセスメントによる予測が困難である可能性が示された。そのため、もう少し学年が上がった時点での確実な診断との関連を確認していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、今年度の進捗状況を踏まえ、rs-fMRIや脳波検査を進めることができるように準備を行う方針である。特にrs-fMRIは検者を眠らせずに行う検査であり未就学児に行うにあたりかなりの困難が予測されるため、検査を行う方法や対象をどのように選択するかについて検討する必要があると考えている。 同時に就学前の年長児に対する読字能力の評価については、現在行っている医療機関を受診しているNDD児に対する評価を継続することに加え、幼稚園や保育園に通っている児童に対しても行うことによりデータを収集する方針である。
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Causes of Carryover |
本年度は、rs-fMRIや脳波検査を行うことができず、それらの被検者に対する謝礼として準備していた予算は使用できなかった。また、年長児の読字能力の評価についても、医療機関を受診しているNDD児に限定して行ったため、予算を使用することができなかった。次年度以降、本年度に行えなかった研究を進めるにあたり、本年度使用しなかった予算が必要になると考えられる。
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