2020 Fiscal Year Research-status Report
発達性ディスレクシアの神経基盤の解明と早期発見・介入の試み
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18K02788
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
巨田 元礼 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特別研究員 (60739001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員准教授 (00377459)
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員 (50756814)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達性ディスレクシア / 読字リスクの早期アセスメント / 早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はコロナ禍にあり、診療の制限が設けられていたため、研究を進めることができなかった。 令和2年8月に行われた小児神経学会において、年長児に読字リスクの早期アセスメントを実施した神経発達症(neurodevelopmental disorders; NDD)児の小学2年生時における発達性ディスレクシア(developmental dyslexia; DD)診断との関連について報告する準備をしていたが、データの解析を十分に行うことができなかった。集められた情報からは、就学前に療育を受けているNDD児では、IQが正常範囲でもDDを疑う読み困難児が多いが、これらの児が就学後に必ずDDと診断されるわけではないこと、早期アセスメントはDD児の早期発見に寄与すると考えられるが、対象がNDD児であるためか明確な関連が認められなかったこと、そのため、確実なDD診断のためには診断バッテリーの整備が必要であるが、早期診断を目的としたアセスメントツールについては、さらなる検討の余地があることが結論付けられた。 早期アセスメントを行った児が就学後どのような診断に至るかについては今後も評価を継続していく必要があると考えられる。引き続きフォローを継続していく。 オンライン開催となった第123回日本小児科学会学術集会と第62回日本小児神経学会学術集会にも参加し、最新の研究内容について情報収集を行った。 また、定型発達児とDD児の安静時機能的MRI(resting-state functional MRI: rs-fMRI)による解析や、脳波の非線形解析についても、コロナ禍による診療制限などにより進めることができなかった。次年度以降に実施できるように準備を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍における診療制限により、今年度は研究に充てる時間がかなり限られてしまったため、研究を進めることができなかった。 rs-fMRIや脳波検査を就学前の児童に行うことについても、十分な時間の確保が困難であり、検査を進めることができなかった。また、就学前の年長児に対する読字能力の評価についても、対象を選択することが困難な状況であり進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、rs-fMRIや脳波検査を進めることができるように準備をする方針である。特にrs-fMRIは検者を眠らせずに行う検査であり、未就学児に実施するにはかなりの困難が予測されるため、検査を行う方法や対象をどのように選択するかについて検討する必要があると考えている。 同時に就学前の年長児に対する読字能力の評価については、医療機関を受診しているNDD児に対する評価を継続することに加え、幼稚園や保育園に通っている児童に対しても実施しデータを収集する方針である。
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Causes of Carryover |
本年度は、rs-fMRIや脳波検査を行うことができなかったこと、年長児の読字能力の評価を施行できなかったことにより、これらの被検者に対する謝金が使用できなかった。 次年度以降、本年度に行えなかったこれらの検査や評価を行うにあたり、被検者への謝金が発生するため、本年度使用しなかった予算が必要になると考えられる。
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