2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the reality of gifted children in Japan and collecting basic data
Project/Area Number |
18K02789
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
林 睦 (近藤睦) 滋賀大学, 教育学系, 教授 (40402698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70452232)
隅田 学 愛媛大学, 教育学部, 教授 (50315347)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ギフテッド / 2E / 才能 / 特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
特別支援教育が始まって以来、発達特性のある子どもたちの支援が進められてきているが、特異な才能のある子ども達もまた、不登校などの学校不適応の問題を抱えやすいことが知られている。我が国においても2022年に有識者会議が設置され、「その才能や特性ゆえに学校で著しい困難を抱えている場合に、その困難に着目し、その様子と周囲の環境との相互作用を考慮しながら、困難を解消するとともに才能を伸ばしていくこと」が必要であるとされている(文部科学省2023)。 本研究では、教職大学院の授業において使用するギフテッドについて基本的な事項を解説した動画を作成し、現職教員や教職に就く予定の学生への教育普及を行った。 また、特定分野に特異な才能のある子ども達やその保護者を対象とし、心理療法の一種である箱庭療法体験がもたらす支援的、予防的効果の評価を行った。ギフテッド支援団体に所属する小中学生10名の子どもとその保護者を対象とし、二次元気分尺度(活性度及び安定度を測定)を用いて箱庭実施前後の気分の変化を評価した。さらに実施後に体験感想シートによる印象評価を実施した。その結果、箱庭作成体験後に子どもたちの活性度得点が有意に上昇し、ほぼ全員が印象評価において「楽しい」「また作りたい」と答えており、子どもにとって楽しさや活性度の上昇する体験となったことが伺われた。一方で安定度は変化せず、「落ち着いた」「ストレスが減った」対象も70%にとどまった。保護者に対する効果は非常に大きく、箱庭作成により活性度も安定度も共に大きく上昇した。人に相談しにくく理解されにくい子どもの問題にストレスを感じている保護者も多く、短時間でも受容され、理解される時間を提供することが大きな支えとなることが示唆された。以上より、単回の箱庭体験であっても、特異な才能をもつ親子にポジティブな影響を及ぼす可能性が示唆された。
|