2018 Fiscal Year Research-status Report
高等教育機関におけるてんかんのある学生への医療・教育・生活の包括的支援体制の整備
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18K02791
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (00191544)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 高等教育機関 / 包括支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等教育機関におけるてんかんのある学生への包括的支援体制整備に向けた調査を行うための予備段階として、某大学教員を対象にてんかんに関する知識とてんかんのある学生への関わりや意識について、アンケート調査した結果をまとめ、第13回欧州てんかん学会にて発表した。346名の大学教員(回収率50.7%)より調査票が回収された。ほとんどの教員がてんかんの名前を知っており、半数がてんかんについて学習していた。半数はてんかん発作を目撃したことがあり、うち33名の教員は大学教員になってからてんかん発作を起こした学生をみていた。てんかん発作を起こした学生への対応として救急車を呼んだことのある教員は46%で、他の教職員に連絡した教員は36%、保健管理センターに運んだ教員は18%であった。てんかんに関する知識として、てんかんの有病率は千人に一人と誤って回答した教員は44%と最も多かった。てんかん発作時の適切な対応として、刺激を与えず静かに寝かせると正しく回答した教員は82%であったが、口に物を入れるという誤った回答をした教員が40%にみられた。てんかんのある学生と大学教員として関わった経験のある教員は10%であったが、てんかんのある学生と関わった教員の60%は不安を感じると回答していた。
今回、発表した調査結果から、てんかんのある学生が健全な学校生活を行ううえで、保健管理センターの役割は大きいと感じられた。全国大学保健管理協会に所属する大学保健管理センターを対象に、てんかんのある学生への対応について、調査する必要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国大学保健管理協会に所属する大学保健管理センター対象に行う研究の倫理審査の研究承諾書が届いていないため、大学の倫理審査で審査を受ける状態になく、研究が開始できていない。また、調査票の内容についても吟味する必要があるため、研究がやや遅れている。今後、早急に研究承諾書を得て、研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
全国大学保健管理協会所属の大学保健管理センター対象の調査を、調査票を完成させ、全国大学保健管理協会の会長あるいは代表理事より承諾を得、大学の倫理審査の承諾を得た後、調査を開始し、調査結果をまとめる。 予備段階として実施した大学教員対象の調査に用いて調査票を吟味し、研究協力が得られた大学の教員の調査について、各大学の学部長宛に研究協力の依頼をし、承諾が得られた段階で、大学の倫理審査の承諾を得た後、調査を開始する予定である。 2つの調査結果を分析し、次年度に短期大学、専修学校の教員、小学校・中学校・高校の養護教諭対象の調査に活かしていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 全国大学保健管理協会に所属する大学保健管理センター対象の調査が、倫理審査の承諾を得ることができず、実施できていない。そのため、調査票作成のための物品費、郵送費、データ入力のための要員を必要としなくなった。そのため、次年度使用額が生じる結果となった。 (使用計画) 当初の計画通り、全国504の大学保健管理センター対象の調査を行うとともに、今年度計画の大学教員を対象としたてんかんのある学生への関わりや意識、てんかんに関する知識に関する調査を実施する予定である。
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