2020 Fiscal Year Research-status Report
高等教育機関におけるてんかんのある学生への医療・教育・生活の包括的支援体制の整備
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18K02791
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (00191544)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 高等教育機関 / 保健管理施設 / 大学生 / 相談 / 医療支援 / 生活支援 / 情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国大学保健管理協会加盟506校の保健管理施設の保健管理施設長を対象に、無記名自記式調査票を用いた質問紙調査を実施した。本研究は鳥取大学医学部倫理審査委員会の承諾を得て行った。 保健管理施設203施設(回収率40.1%)から回答が得られた。てんかんのある学生の相談・利用は165施設(81.3%)で、相談・利用の経緯は学生自身が相談・利用が114施設(70.4%)と最も多く、相談・利用の理由は発作時の対処97件(59.9%)、病気に対する医療機関の紹介・情報提供61件(59.9%)であった。過去5年間にてんかん発作を起こした学生への対応は122施設(60.1%)であり、対応した学生総数は5年間平均4.3人であった。発作を起こした場所は、講義時間87件(70.2%)、休憩時間51件(41.1%)で、学生対応は保護者に連絡94件(75.8%)、救急車を呼び医療機関受診86件(69.4%)、保健管理施設に運ぶ76件(61.3%)であった。てんかん発作対応救急マニュアルがあるは37施設(18.2%)、保健管理施設でてんかんのある学生対応について教員からの相談がありは87施設(42.9%)で、相談内容は発作時の対処法69件(79.3%)が最も多かった。学内でてんかんあるいはてんかんのある学生対応の情報提供・共有ありは116施設(57.1%)であった。 保健管理施設を相談・利用するてんかんのある学生は多く、発作時の対処や医療機関の紹介・情報提供が多かった。てんかん発作を起こした学生に対応した施設は過去5年間に6割と多く、てんかんのある学生対応について教員からの相談も4割の施設で発作時の対処法が最も多かった。てんかんのある学生が健全に学校生活を送るため、てんかん発作対応の救急マニュアルの整備や教員に対するてんかんについての情報提供・共有など、保健管理施設が果たす役割は大きいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書に記載されていた高等教育機関の教員及び保健管理施設に対するてんかんのある学生対応の実態についての調査を終了し、結果を分析した。2つの調査結果についての報告書を作成し、令和2年(2020年)度中に研究協力して頂いた施設に報告書を送ることができた。 本研究課題で、令和2年(2020年)度までに予定していた2つの調査を終えたが、令和2年(2020年)度中に実施予定であった調査を今後行う段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年(2020年)度中に、小・中学校・高校における教師によるてんかんのある児童生徒への対応の実態について、鳥取県内(一部鳥取県外)の小・中学校・高校に在籍する教師と養護教諭を対象に調査する予定である。調査項目として、教師のてんかんに関する基礎知識、てんかんのある児童生徒との関わりの経験、保健室で対応されたてんかんのある児童生徒の実態、養護教諭や教師との連携などの課題を予定している。また、高等教育機関における教員及び高等教育機関保健管理施設におけるてんかんのある学生対応の実態についての研究成果を発表する予定である。さらに高等教育機関におけるてんかん発作対応のマニュアルを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究成果を発表する予定であった学会への参加ができなかった。その結果次年度使用額が生じた。令和2年度に学会発表を計画していた研究成果は令和3年度に発表するよう、既に参加申し込みを行っている段階にある。また、計画書に予定された調査研究を行い、さらにマニュアル等の作成に使用する予定である。
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