2021 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児童・生徒の教材活用による実態把握と系統的学習教授法に関する臨床研究
Project/Area Number |
18K02799
|
Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
池畑 美恵子 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (00616352)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 知的障害児童・生徒 / 実態把握 / 感覚と運動の高次化チェックリスト / 教材活用 / 系統的学習教授法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害児童・生徒の発達の全体性や適応状態をとらえる多面的な実態把握の指標の整備と発達段階に応じた系統的な学習教授法の検討を目的としている。 令和元年度(2019)および令和2年度(2020)は、既存の「感覚と運動の高次化発達診断チェックリスト2007」のチェック項目について、現職の特別支援関係教員・指導員42名の協力を得て見直しを行い、329項目中56項目を要修正項目として抽出した。抽出した要修正項目については、新たな表記の検討及び対応教材の抽出、補足説明の追記等の検討を行った。 令和3年度(2021)は、特にⅢ層:象徴化、Ⅳ層:概念化の評価項目について、実態に即した新たな評価の必要性を検討した。特に、これまでⅢ層:象徴化は一つのステージとして位置づけていたが、臨床的には一見ことばで簡単なやりとりは成立しているようであっても、実際にはことばとイメージ(予想・見通し)が十分につながっておらず、共有性や柔軟性、情緒的安定性が大きく揺らぐ事例が少なからずおり、Ⅲ層:象徴化を二つのステージに分け、その上で、より詳細な実態把握につながるようチェックリストも修正・追加した。その結果、4層9水準、全体で569項目からなるチェックリスト改訂版を作成した。また、Ⅲ層:象徴化を新たに2つのステージとした意味と根拠について、研究代表者が『発達臨床研究 第39巻』に「Ⅲ層 象徴化の世界の発達理解と再考-象徴化Ⅰ・Ⅱの新設に向けた整理-」と題して執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別支援学校等からの事例提供や関係機関と事例検討会が開催できず、実践事例での活用可能性については十分な検討ができていないが、改訂版として新たなチェックリストを作成することはできた。改訂版の公開に向け、解説の追記や活用事例の系統的な学習過程の把握、分析を行っていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
淑徳大学発達臨床研究センターで臨床データを有する過去事例の経過分析を行い、知的障害児童・生徒の系統的な学習教授法についてまとめる。2年ないし3年の学習経過を分析することで、発達段階に応じた教材活用の視点について、示唆が得られると考える。 また、改訂版チェックリストの活用可能性についても事例を通して検討を行うとともに、改訂版に対応した、プログラムソフトの修正も行う。
|
Causes of Carryover |
令和3年度(2021)については、セミナー開催や物品購入は生じていないため。令和4年度に、研究の総括としてチェックリストおよび系統的学習教授法に関する資料の冊子化およびプログラムソフトの修正を行う計画である。
|
Research Products
(3 results)