2019 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校(肢体不自由)における意思決定論的アプローチに基づく授業開発研究
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18K02806
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
北川 貴章 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 主任研究員 (60780674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 隆男 筑波大学, 人間系, 教授 (20251861) [Withdrawn]
内海 友加利 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (00845232)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自立活動 / 身体の動き / 若手教師 / 意思決定プロセス / 教師の力量 / 授業研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究2】自立活動の「身体の動き」に係る個別指導場面における若手教師の意思決定プロセスの特徴と対応策の分析(質的研究)の結果をまとめ、次の成果を得た。①日本特殊教育学会第57回大会でポスター発表した。②障害科学学会の査読付き学術誌である「障害科学研究」の第44巻に「自立活動の個別指導場面における若手教師の意思決定プロセスの分析:動作法の習熟度に着目して」が掲載された。 【研究3】2019年4月~8月に、文献研究や研究1・2の成果を踏まえ、意思決定論を参考にしたベテラン教師の介入による若手教師の個別指導場面を想定した授業研究プログラムを構築した。2019年9月~2020年3月に、構築したプログラムの効果と課題を検証するため、若手教師4人を対象に事例研究を行った。尚、新型コロナウイルス感染拡大予防に伴う学校休校措置により、1名が途中で中断した。 プログラムは、5つのSTEPで構成した。STEP1:授業1コマ分の指導計画作成と授業①を実施。STEP2:授業①後に授業を振り返り、意思決定に迷った場面を抽出。STEP3:介入場面をベテラン教師が検討。STEP4:授業②を実施し、STEP3で検討した介入場面にベテラン教師が直接介入し、若手教師の意思決定をサポート。STEP5:STEP4で得た指導・助言を踏まえ若手教師が一人で授業③を実施。 プログラムの主な効果は、①若手教師自身で現状分析を行い、今後の自己の課題に気づけた②子供の動作や姿勢の見立てや関わり方を修正し、手触りや微細な動きの変化に気づけた、等が挙がった。プログラムの主な課題は、①若手教師の気づきの段階性や介入する教師の力量の検討②授業デザインの基になる個別の指導計画などは、複数の教員が関与して作成するため、個人レベルの課題でない部分への対応、等が挙がった。 一部成果について、障害科学学会2019年度大会でポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1・研究2については、概ね予定通りに取り組むことができ、研究の成果を発表することができている。研究1についても、引き続き子細な分析を行い、2020年度中に査読付き学術論文への投稿を目指す。 研究3についても、構築したプログラムの効果と課題を検証するためのデータを収集し、実用化に向けたプログラムの改善に必要な基礎的な知見を得ることができており、概ね予定どおりである。予算についても計画的に執行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1のデータについては、引き続き子細な分析を行い、査読付き学術論文として2020年度に投稿予定である。 研究3の実施にあたっては、関連文献をレビューするとともに、これまでの研究知見を踏まえて実用化に向けてプログラムを改善し、引き続き複数の事例で検証しながらプログラムの開発に取り組む予定である。 本研究においては、学校現場での授業データ収集が必須である。2020年4月末現在、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大予防の観点から学校休校が続いており、研究協力校とデータ収集の可否について検討中である。今後、新型コロナウイルス(COVID-19)の収束状況や学校再開時期等を勘案して、研究計画を再考し年度内で研究を完了させるか、補助期間を1年間延長して研究を遂行するか判断する。
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Causes of Carryover |
研究3の対象教員が、近地の学校に所属している教員であり、またデータ収集の訪問回数が予定より少ない回数で実施できた。そのため、予定より少ない予算でデータ収集が行え、旅費に余剰が出た。 また本研究の成果を途上国の特別支援教育に展開することを想定して、海外から研究者を招聘して日本特殊教育学会で自主シンポジウムを行うことを計画しており、昨年度段階で関係予算を2020年度に繰り越すことになっていた。 次年度は、研究3のデザイン検討及びデータ収集に係る旅費や物品購入、研究1の論文投稿に向けた打合せに係る旅費、研究成果の発表に係る費用を中心に支出し、計画的に執行する。
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Research Products
(3 results)