2020 Fiscal Year Research-status Report
障害児(者)を分け隔てなく診療する医師を育成する教育の効果に関する追跡的研究
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18K02808
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
長谷川 桜子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 主任研究員 (60326816)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医学教育 / 発達の障害 / 医療 / インクルージョン / 計画的行動理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害のある人に対する医療分野における社会的障壁の解消に向け、世界保健機関は専門家教育に障害関連の情報を含めるよう推奨している。しかしどのような教育が効果的、効率的かに関する研究はいまだ乏しい。これまで、心身の発達に障害がある人(障害児(者))を専門に診療する医療機関で1日間の臨床実習を受ける医学科5年生を対象に、実習前後に質問紙調査を実施し、実習後に将来に障害児(者)を分け隔てなく診療する意図(するつもり)や、行動統制感(できそう)が高まっていることを確認した。今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、従来の実習プログラムから、患者等と直接に接する機会である外来・病棟訪問や重症心身障害のある患者とその家族との面談を割愛して、指導医らによる講義と、録画された重症心身障害のある患者と家族による講話の視聴のみの半日間のプログラムが実施されたので、この有効性を検証した。参加した医学生19人を対象に、これまでの研究で用いてきたのと同じ質問紙で調査を実施し、実習前後の回答を比較した。結果から、半日間のプログラムを受けた実習生でも、昨年度に1日間のプログラムを受けた実習生と同様に、実習後には将来に障害児(者)を分け隔てなく診療する意図や、行動統制感が高まったことが示された。直接かつリアルタイムに患者等と触れ合う経験の有用性にはおそらく議論の余地がないが、録画された講話の視聴もまた教育に有用であることが示唆された。ただし他の研究分野において、対面して体験談等を聞くことと、録画されたものを視聴するのとでは、直後には聞き手の記憶に差がなかったが、追跡調査では違いがあったという報告があり、さらなる検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大によって大学や医療従事者の負担が増大している社会情勢を鑑みて、実習生への追跡調査や卒業生調査の依頼を自粛しており、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ワクチン接種が始まるなど、新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうと期待できる状況になりつつあることから、関係者に相談しつつ、研究協力/参加依頼対象者からひんしゅくを買うことのない負担感の少ない方法を検討し、可能な範囲で調査を開始したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスをめぐる社会情勢を鑑みて実習生への追跡調査や卒業生調査を自粛したため、次年度使用額が生じた。ワクチン接種が始まるなど、新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうと期待できる状況になりつつあることから、研究協力/参加依頼対象者の負担に配慮し、関係者と協議しつつ、可能な調査から実施していく。
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Research Products
(2 results)