2018 Fiscal Year Research-status Report
教員養成大学における学生の地域理解と地域間移行:適応と時間的展望との関連から
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18K02809
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
半澤 礼之 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10569396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮前 耕史 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30584156)
浅井 継悟 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40776655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教員養成 / 大学生 / 地域 / 移行期 / 時間的展望 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,本研究課題で焦点を当てている教員養成大学に所属する学生の「地域理解」と「地域間移行」について以下の三点の検討をおこなった。
一点目は,質問紙調査の実施である。教員養成大学に所属する大学生の「教育において地域と関わることに対する意識」を測定することを目的とした尺度開発に向けて,自由記述による質問紙調査を行った。この調査によって尺度作成に必要な資料を収集することができた。学校教育や教員養成において「地域」の強調が様々に指摘されている現代において,「教育において地域と関わることに対する意識」の測定ができる尺度を開発することはとても重要なことだといえる。二点目は,予備的な面接調査の結果を学会で報告したことである。教員養成大学に所属する大学生の「地域間移行」を研究する上での予備的な検討として,大学4年生15名を対象に「地域間移行」に対する意識を問う面接調査を実施した成果を日本発達心理学会で発表した。「地域間移行」を不安に感じる学生のほうが,そうではない学生と比較すると,大学での学びを「地域間移行」との関連で意味づけて積極的に取り組んでいるということが示唆される結果が得られた。この結果から,「地域間移行」を意識することが大学での学びに肯定的に働く可能性が示唆されたといえる。三点目として,地域とかかわりながら地域を創造していく教師を「地域創造型教師」と位置づけて,それに関わる文献研究と学会発表をおこなった。
以上の検討から,教師を目指す学生の「地域」に対する意識について今後検討を進めていく上での基礎資料が得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は以下の2点の調査・研究をおこなった。
一点目は質問紙調査である。大学生に対して地域と関わることに対する意識を尋ねる質問紙調査をおこなった。その結果,教員養成大学に所属する大学生の「教育において地域と関わることに対する意識」を測定することを目的とした尺度開発に向けたデータを収集することができた。具体的には,地域と関わることの重要性の認識とその理由に関する自由記述のデータである。現在,自由記述データの分析を進めており,この資料をもとにした尺度開発をおこなっている。二点目は文献研究である。「教育と地域」「地域と教員養成」に関わる文献を収集して先行研究のレビューをおこなった。また,諸学会への参加を通じて教員養成に関する資料を収集した。この文献研究により,質問紙調査や面接調査において立てる必要のあるリサーチクエスチョンがより明確化したといえる。
以上より,研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関わる量的検討として,2018年度に収集した自由記述のデータをもとにして,「教育において地域と関わることに対する意識」を測定する尺度を作成する。また,その際には大学適応や時間的展望といった,青年の適応や発達に関わる指標との関連もあわせて検討する。
また,質的検討として,教員への採用が決まった大学4年生を対象にした面接調査を行う。この調査は2020年度に続く縦断的調査である。4年生のときの「地域」や「地域間移動」に対する意識が就職後1年目でどのように変容するのかについて検討をおこなうための,準備の調査として位置づけられる。
これらの検討を行い得られたデータについては,教師教育や教育工学,教育心理学に関わる学会で報告し論文化していく。
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Causes of Carryover |
2018年度は教員養成大学に所属する大学生の「教育における地域理解に対する意識」を測定する尺度の作成およびその妥当性信頼性の検証を予定していた。作成は終えたものの,その妥当性や信頼性の検証をまだ終えておらず,従ってそれに関わる学会報告ができなかったため次年度使用額が生じてしまった。当該助成金については,翌年度分として請求した助成金とあわせて尺度の妥当性・信頼性の検討(人件費など)およびそれに伴う学会発表(旅費)として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)