2019 Fiscal Year Research-status Report
診療参加型実習に対応できる医学生の内視鏡外科手技自習プログラムの検討
Project/Area Number |
18K02833
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野村 務 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60287737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学生教育 / 内視鏡外科シミュレーター / 自習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は医学生が内視鏡外科手術手技トレーニングを行う上で自発的かつ継続的に履修する魅力的な自習用のプログラムを開発・評価することである。昨年度においては学生の自習へのモチベーションを増加させるタスクを抽出することと、それを組み合わせたプログラムを作成、実際に学生に自習させプログラムを評価した。しかし当初のプログラムでは本研究のゴールである「自発的に」かつ「継続的に」実習を行う学生が少なく、実際には研究開始か ら9か月目まで2回目以降の実習を行う学生がいなかった。したがって、10か月目以降からは、プログラムの修正とともに自習を促す介入を行い始め、本年度もそれを継続した。介入の具体的な方策としては、最初のデモンストレーションにおいて自習プログラムの第一段階であるAugmented reality simulator (ARS)のProMisのビーズ玉の移動と第二段階のvirtual reality simulator (VRS)であるLapSimのタスクである、クリッピング・カッティング、フックによる切離、カメラナビゲーション、胆嚢摘出術などを、研究代表者が自ら行い学生に説明、自習へのモチベーションを促し自習に関する具体的な希望や興味に関するアンケートを行った。アンケートでは週に1-2回の自習を希望する学生が最も多かったが実際に行われた頻度は少なく、4週間の実習期間の間に行った自習の平均回数は2.2回、1回の平均自習時間 は約30分であった。学生が実際に自習で行ったタスクはLapSimのクリッピング・カッティング、フックによる切離、胆嚢摘出術、suturingであった。また第三段階のタスクである胆嚢モデルや虫垂摘出、消化管吻合モデルなどをProMisで行うタスクは、自習前のアンケートでは希望があったものの実際の自習では選択されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自習前のアンケートで興味のあるタスクを抽出することは可能であり、それを用いたプログラムを学生たちに提示はしてはいるものの、自習回数も少なく3回目以降のARSを用いた自習を行った学生がいないため、現時点でのプログラムは最終目標である「自発的かつ継続的に履修する魅力的な自習用のプログラム」にはまだ到達していないと考えられる。そもそもが、学生の自主性に任せて外科手技のsimulatorによる自習を行わせるというのが本研究の着想で、そのためのプログラムを作成するという事が目的であるため、最初から学生が積極的に自習してくれるわけではないという事は想定内ではあったが、2年を経過した段階でも積極的に継続した自習を行う学生が少ないという事は多少の想定外であった。また学生はテレビゲームと同様にsimulatorの電源を入れるだけで履修できるVRSを好み、各種実習モデルを履修の度にsimulatorに入れて履修終了後に後片付けが必要なARSを敬遠する傾向があったため第三段階のタスクを希望しなかった可能性が高い。プログラムの第一段階もARSであるが、初回であること、タスクのセッティングが容易であること、研究代表者が説明した直後にその横で履修するという点で三回目と異なっていた。セッティングが面倒でも是非自習してみたいという魅力が現時点でのプログラムになかった、あるいは学生たちのモチベーションに訴える魅力に欠けていたということが反省すべき点である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の進め方としては、2年間の知見をもとにさらに学生に介入することにより自習を促すことが重要と考えている。昨年度にはその方略の一つとして、実習の最終週 に手技のテストを予定するなどと最初の段階で学生たちにゴールを提示したグループでは履修回数が多かったため、今年度も同様のことを考えている。またProMisでの胆嚢摘出術や虫垂切除術、suturingなど、購入した機材を用いた難易度の高いタスクは手技の習熟にとくに有用であるため、これを自習させるプログラムをゴールとしてARS、VRSを組み合わせたプログラムを考案する方針である。当科を履修する1ヶ月の間に自習の習慣を身に付けてもらい、当科の研修終了後も自習を希望するようなプログラムが理想であり、学生たちにもその作成に積極的に参加してもらえれば尚更望ましい。
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Causes of Carryover |
当該年度ではARSでの胆嚢モデルや虫垂摘出、消化管吻合モデルなど消耗品を使用する自習がほとんど行われず、消耗品を必要としないARSでのビーズ玉の移動や、VRSの各種タスクが主であったため、機材の購入の必要がなかった。また進捗状況から学会発表や論文作成なども行われていないため当該年度内での予算の執行がなかった。 来年度は学生の自習の状況により予算を執行する予定であるが、前年度購入分も残っているため、それが足りている間は改めて物品の購入は行わない。
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