2019 Fiscal Year Research-status Report
オノマトペの音声感性情報を活用した幼児のための道徳教育オーディオブックの開発
Project/Area Number |
18K02839
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
藤野 良孝 朝日大学, 保健医療学部, 准教授 (40462767)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | オノマトペ / 音声感性情報 / 法教育 / 規範意識 / オーディオブック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児の「いじめ」「ルール違反」等を改善させる構成的要素として、オノマトペの音声感性情報に着眼し「幼児の法教育を促すためのオノマトペ・オーディオブック」を開発することを目的としている。 令和1年度は、前年度に選定された法学習コンテンツ、学びのシナリオに準拠しながら、学習理解を図る際に有効なオノマトペの色彩(ピンク、赤、オレンジ、黄色、きみどり、緑、みずいろ、青、むらさき、黒)とその濃度(1[濃い]~5[薄い])及び文字種(「手書きデザイン文字」「ゴシック文字」「明朝文字」)の呈示法について調査を行った。 分析の結果、オノマトペの色彩は、淡い色彩よりも鮮やかで高濃度の色彩を支持する傾向が分かった。幼児絵本において定番化されている色彩の在り方同様、原色系のメリハリがついた色彩を用いることが有効であることが示唆された。 文字種は、①手書きデザイン文字、②ゴシック文字、③明朝文字の3種類の中で「手書きデザイン文字」が最もオノマトペの呈示として適合することが示された。手書きデザイン文字は、オノマトペの曰く言い難い事柄を効果的に伝える感覚機能や声の微妙なニュアンスを表す伝達機能を図る上で有効であることが推察された。これにより、幼稚園教諭が読み聞かせを行うとき、手書き文字のフォルムからどのような声(音色)を出せばよいのか直感的に理解することが出来るようになる。以上から、オノマトペ・オーディオブックに実装するオノマトペの色彩と文字種が確定され動画に取り込む準備が整った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究状況は、やや遅れていると考えられる。まず、予定通りに達成できた研究内容は、以下の2点であった。 [1]前年度に決定した学習シナリオに基づき法教育絵本を開発した。[2]絵本に付与するオノマトペの色彩、文字種を選定した。 次に、達成できない研究内容は、以下の2点であった。 [1]学習効果の観点からオノマトペの音色パターン「↓(低音)↑(高い)等」を収録(アナウンサー)出来なかった。[2]感性情報が内包されたオノマトペを視聴させ、問題場面を鮮明にイメージできる、学んだことを忘れないようにするなどの法教育の理解・定着に有用なメディアを示せなかった。 以上、達成できなかった内容は、次年度の研究の推進方策と併せて検討を行う計画である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策について、以下に具体的に述べる。 [1]前年度に達成できなかった、アナウンサーによるオノマトペの音色パターンの音声収録の実現可能性を見極めながら、AIアナウンサーの採用も視野に入れて研究推進の解決策を図る。 [2]オノマトペの音声感性情報を、アニメーションに実装し形成的評価を行いながら法教育用のオノマトペ・オーディオブックを開発する。 [3]開発された法教育のためのオノマトペ・オーディオブックをH幼稚園の園児に視聴させて、どのような反応、変化が見られたのかを幼稚園教諭10名に観察評価及びアンケート調査から有用性を検証する。 新型コロナの影響も踏まえながら、検証方法の抜本的な見直しも視野に入れて研究を展開してゆく計画である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、新型コロナの出張自粛要請により制作物確認の打合せ及び音声収録の打ち合わせが延期になったことなどが響いている。新型コロナの収束後、すみやかに作業を行うことで問題は払拭されると考えられる。
|