2021 Fiscal Year Research-status Report
3Dプリンタによるものづくり教育を意識した教材開発研修カリキュラムの開発
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18K02846
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
奥村 英樹 四国大学, 生活科学部, 教授 (80233477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 昇 四国大学, 生活科学部, 准教授 (20761670)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 3Dプリンタ / ものづくり教育 / カリキュラム開発 / 教材開発 / 教員研修 / 初等教育 / 中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で立てた3つの仮説に対する今年度の研究実績は以下の通りである。 仮説1(学校現場において即時性と個別性が必要な教材の制作場面が多数存在する)については、2021年度も免許更新講習において、受講者から提案された教材や利用場面を収集し、整理しているところである。教員への3Dプリンタの貸し出しによる情報収集はできておらず、実践報告等の文献収集にとどまっている。 仮説2(上記に類する教材の最低限の発想法と制作技能は、1日程度の研修で十分習得可能である)については、研修用テキストの教材例を追加するとともに、最初の1時間で制作する題材の工夫などの改善を行い、大学生への授業(1.5時間)と免許更新講習(約6時間の1日研修)において実践した。なお、3Dモデルの制作では、コンピュータ・ディスプレイを見ながらの立体造形は、奥行きの把握が難しいため、VRによる直感的な制作の可能性の検討にも着手した。 仮説3(開発した研修カリキュラムは児童・生徒の「ものづくり」教育に応用可能である)については、2021年度も鳴門教育大学主催のジュニアドクター・発掘養成講座において、小学校5年生~中学校3年生を2グループに分けて実施した。アンケートではこれまでと同様に、「難しい」との回答が多かったものの、全員が「楽しかった」「もっと学んでみたい」との回答が得られており、「3Dプリンタの利用への自信」「便利な道具との理解」も有意に向上が見られている。 また、カリキュラムの公開や制作物の共有については、整理を進めているものの、公開するまでには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの感染症対策に伴う授業を含めた一般業務の負担増の他、近年継続して行ってきた学部長の任は解かれたが、新たに情報教育センター長と附属図書館長の2つの部署の管理職に任命されたため、研究の時間が大幅に削られることとなった。 仮説1については、免許更新講習での調査しかできておらず、職場に3Dプリンタを置いて長期間を通じての調査については、希望者が募れていない。 また、フルカラー出力の3Dプリンタは、期待していた印刷品質に満たないため、鮮明でなくてもよい題材という制限のため、十分には進められてはいない。 仮説2については、使用しているテキストも、年度ごとに改善しており、概ね順調であると言える。 仮説3については、2回の講座で実践を続けており、難易度の調整が必要なものの、満足度や1人で制作する自信も高い評価であり、ある程度の完成度をもったカリキュラムができつつある。 カリキュラムの公開や制作物の共有については、内容の整理を始めているが、公開する媒体等具体的な方法の検討まではできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説1の教材の制作場面でのアイデアの創出のためには、多様な意見が得られるよう工夫することが望まれる。そのため、最終年度ではあるが引き続き、協力いただける現職教員の募集を行う一方で、既存の報告や研究の収集の強化と、フルカラー3Dプリンタも含めた、教育実践報告や学習指導要領・教科書に基づいた利用可能な教材と利用場面の洗い出しを継続して行う予定である。 仮説2については、2022年度もカリキュラムと教材のブラッシュアップを行い、可能であれば講習での実践・評価を行う予定である。 仮説3については、カリキュラムと教材のブラッシュアップを行い、可能であればものづくり教室等において実践・評価を行い、留意点を更に検討したい。 カリキュラムの公開や制作物の共有については、公開する媒体を検討し、順次公開を図っていきたい。 また、カラーの立体造形による教材作成の可能性を探るとともに、VRなどの新たな3Dモデルの設計方法と研修会での実用化の可能性の検討を行い、これまでの研究成果のまとめと公開を行う予定である。
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Causes of Carryover |
教材の制作場面を広く情報収集するための現職教員の協力者が得られなかったことと、出前講座用のPCと3Dプリンタ、3Dスキャナーの購入を控えた事により残高が生じた。 2022年度は、主に子どもを対象としたものづくり教育を出前で実施するための機材と、簡易スキャナーなど3Dモデルの制作を支援する物品の購入に充てる予定である。
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