2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing training program based on young teachers' experiential learning ability
Project/Area Number |
18K02859
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益子 典文 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10219321)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 教師教育 / 若手教師 / 経験学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,若手教師の経験学習能力形成モデルを構築し,そのモデルに基づく経験学習促進プログラムを開発することである。 研究2年目である令和元年度は,初任教師が教職1年目のどのような経験が成長へつながるかについて2つの研究を遂行した。第一に教職2年目の教師を対象とした授業設計力向上に関する事例研究である。教職1年目の授業設計の記録をすべてノートに残している2年目教師を対象として,教職1年目の授業設計活動やその活動の変化を尋ねるインタビュー調査を行った。その結果,就職前に身につけていた基盤となるノート利用の学習方法(システム)に対し,(1)それぞれの時期毎の課題を整理するために定型化要素(例えば,学習プリントや板書の形式)が投入され,(2)その定型化要素による設計段階と実践段階のズレの認識や学習が進行する,という経験学習活動が観察された。課題整理を実現するとともに,ストレッチとリフレクションの展開を可能とする定型化要素の投入が,時期毎に複数回行われていることは,教職初任者の成長を支える経験学習の特徴の1つと考えられる。第二に,平成30年度に教育員会事務局の協力を得て,初任者研修受講者を対象として実施した,経験学習に関する調査の分析を進めた。1年目の経験学習の様相を「開いている状態(経験学習が可能な状態)」「閉じている状態(経験学習が困難な状態)」として時期毎に回答を求めるとともに,その理由の記述を求めている。このデータの分析から,講師経験教師(正規採用となる前にこうし経験を持つ初任教師)と,大学新卒教師(講師経験なし)は,(1)1学期の変化にそれぞれ特徴が見られること,(2)両者ともに2学期に「開く」傾向を持つこと,などの特徴が示されている。 合わせて,若手教師を対象とした研修を含む,教育委員会が実施しているフォーマルな教員研修プログラムの評価に関する研究も遂行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目は若手教師の基盤となる経験学習能力を形成するための,教職1年目の初任教師を対象としたデータ収集・分析を進め,一定の成果が得られている。若手教師の経験学習能力形成モデルを構想するための準備は概ね整っていると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の令和2年度においては,これまでの研究を踏まえ,若手教師の経験学習能力形成モデルを構想することから開始する。教職初任者のデータ分析結果は,学会において発表する予定である。 これまでの研究が示唆しているのは,学校での多様な経験を自らの成長へとつなげる能力の重要性である。そのため,本研究の目標の一つである若手教師の成長を促す経験学習促進プログラムの開発のためには,管理職経験者など,学校で若手教師を育てるシステム構築を担っている対象者への調査が必要と判断している。現在,その調査を実施する見通しがつかないことから,研究計画の見直しが必要となる可能性が残っている。
|
Causes of Carryover |
初任者教師の経験学習に関するデータ分析,学校管理職への予備調査,それぞれの分析作業が継続しており,年度内の研究発表が実施できなかった。研究協力者とともに,最終年度に実施する予定である。
|
Research Products
(4 results)