2018 Fiscal Year Research-status Report
Effective practice method of the BLS simulator based on learning theory
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18K02866
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
谷 浩明 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50188372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 観世子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (80433613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胸骨圧迫 / BLS / フィードバック / スキル学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は予備実験の結果を解析した。実験は健常成人36名(男性24名、女性12名)を対象とし、課題は、BLSシミュレータ(Laerdal社製)に対して、深さ50mm、テンポ100~120bpmの胸骨圧迫を連続して20秒間行うこととした。対象へのフィードバックは横軸を時間,縦軸を深さとしたタブレット上のグラフで提示し、目標値である50mmの高さを超えるとグラフの線の色が変わるよう設定した。対象は(1)同時フィードバック群(以下、C群):タブレットの画面をリアルタイムで見ながら課題を遂行する群(n=17)(2)最終フィードバック群(以下、T群):課題遂行後にその結果をタブレットの画面で確認する群(n=19)の2群に分けた。両群とも、20秒間の課題と30秒の休憩からなる試行を、練習相として5試行、5分後と1日後に想起相として1試行ずつ行った。収集した圧迫の深さのデータと目標値から、恒常誤差(CE)と変動誤差(VE)を算出し、この誤差の減少の度合いでパフォーマンスを評価した。 分散分析の結果、練習相ではC群、T群ともにCEは有意な増加、VEは有意な減少を示したが、想起相では、日間でも群間でも有意差が認められなかった。練習相でのVEの有意な減少は、圧の深さのばらつきを少なくしようとしていることを反映しているのに対し、CEは練習で徐々に増加、圧の深さが過大となることがわかった。これは、シミュレータの目標値を超えるとパフォーマンスが良好だと知らせる提示方法が原因と推察され、過剰な圧迫による臓器の損傷も考慮すれば、胸骨圧迫法の練習では、例えば50~60mmといった帯域幅を目標にできるような視覚フィードバック付与が望ましいと考えられた。 この研究結果から、本実験でフィードバックのタイミングによる差を明確にするためには、提示方法や練習前の教示内容をさらに検討する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験の結果は、計画当初にたてていた実験デザインを少し修正する必要があることを示しているが、全体としては、より効率的、効果的に本実験を行うための有用な情報が得られたと考えている。また、30年度内で予定の備品が完備され、集中的にデータを採取できる環境が整ったことで、今後、計画通りに進めていける目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、フィードバックをリアルタイムで付与するべきか、課題試行終了後に付与するべきかの比較研究を進めて、31年度内にまとめる予定である。並行して、年度途中から32年度からのフィードバック頻度に関する研究の予備研究を行い、年度が替わってからの導入が円滑に行われるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初、BLSシミュレータは全身タイプを想定して、30年度はシミュレータのみ購入する予定であった。ところが、計画時点ではデータ転送が不可能だった半身タイプが、新しい型となり、そのデータ転送可能な仕様となったため、次年度購入予定であったデータ転送用の専用タブレットを併せて購入した。代わりに、予備研究で明らかとなったフィードバック提示の問題点などの成果報告を次年度に送ることとしたため、学会発表等のために充てた予算の分だけ次年度使用額として生じることになった。 研究備品が予定より早く完備したため、発生した次年度使用額は、次年度報告のための費用として使用する計画でいる。
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