Effective practice method of the BLS simulator based on learning theory

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02866
• Research Institution: International University of Health and Welfare
• Principal Investigator: 谷 浩明 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50188372)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 渡邉 観世子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (80433613)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 胸骨圧迫 / BLS / フィードバック / スキル学習

Outline of Annual Research Achievements

胸骨圧迫スキルの効果的な学習方法につながる練習中のフィードバックについての研究を進めてきた。
BLSシミュレータを用いた深さ50mm以上、テンポ100～120BPMの胸骨圧迫スキルを練習する際のフィードバックをリアルタイム（CF）で行うか、事後的提示（TF）で行うかを比較した研究1では、フィードバックCFでもTFでも練習中のパフォーマンスの改善、学習の程度に違いがないとする結果を得た。これは、TFに高い学習効果があるとする従来のスキル学習の知見とは異なる結果で、少なくとも胸骨圧迫スキルの短期記憶においては、リアルタイムのフィードバックが有効であることを支持している。これについて今年度、人間工学系の学術雑誌に投稿したが、一旦取り下げ、フィードバック画面の表示方法に関する新たな考察を加えた。まとめ直した論文は、本研究の研究区分でもある教育工学系の学術雑誌に投稿予定である。
また、一昨年の学会発表での「実際にはテンポと深さの2つのフィードバックが同時に付与される点についてどう考えるか」といった指摘事項に対するひとつの回答としてテンポのみのフィードバック付与による学習効果についての関連研究を行った。この研究の解析からは、テンポが練習2～3試行程度で目標値に達して、かつ練習後に有意に目標値に近づくという結果が得られた。この結果をまとめた論文は、現在、理学療法系の学術雑誌への投稿を予定している。
フィードバック頻度の違いによる学習効果をみるための研究2、およびそれを補うテンポの刺激様式の違い(視覚、聴覚)によるパフォーマンス向上への効果を確かめる実験については、対象者募集の段階でコロナ感染による影響を受け、測定開始が遅れたため、解析が年度をまたいでいる。これらの研究結果についても、教育工学系あるいは医学系の学術雑誌に投稿することを計画している。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究で得られた内容に関して他の研究者からの意見を得るための学会発表の機会がコロナウィルスの影響で減少したことは、論文執筆のうえで少なからず影響があった。また、今年度終える予定で研究2の対象者は大学生を主とする若年健常成人だが、感染拡大の影響で、予定していた数を集めることが昨年度以上に困難であった。さらに、本研究は学習効果を検証する想起テストを行う必要があるため、練習5分後に加えて24時間後に測定を行わなければならない。最低、2日にわたる測定であることも、この情勢下で対象者募集が難しい要因のひとつになっていたと思われる。

Strategy for Future Research Activity

研究1とテンポのみフィードバックとして付与する補足研究についてはすでに投稿を進めている段階である。フィードバック頻度の違いによる学習効果をみる研究2については、対象者募集の段階でコロナ感染による影響を受け、データ採取に大幅な遅れを生じていたが、2022年7月までには解析を終了できる予定である。また、テンポの刺激様式(視覚・聴覚）の違いがパフォーマンス向上に与える影響を確かめる補足研究は、2022年5月を目処に解析を終了する予定で、研究2と同時期に教育工学系あるいは医学系の学会で発表、学術雑誌に投稿することを計画している。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由のひとつは、今年度、予定されていた学術大会の多くが感染による影響で中止、あるいはオンライン開催となったことで、予算を消化できなかったことである。また、すでに終了した研究1の投稿先変更、その他の研究で対象者の募集が難しく測定開始が遅れたことによって投稿に伴う費用がすべて次年度に持ち越されることになった。
年度をまたいだ解析にかかる費用を除くと、すでに投稿作業の段階に入った2つの研究の投稿に伴う費用、残った2つの研究に関係する学会発表と投稿に伴う費用が次年度使用額の大部分を占めることになると考えている。