2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02879
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 弥生 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (00346743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 祐子 九州産業大学, 人間科学部, 講師 (30753321)
久木山 健一 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (10387590)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教師 / SST / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
SSTは『生徒指導提要』において教育相談の新手法の中核として取り上げられるなど、教育現場の重要取り組み課題となっている。しかし、現状ではSSTに必要な複数回セッションに割く時間が厳しく、専門外のため教師自らの実施に不安が多く、実施される場合でも専門家任せが多い。そこで本研究では、学校における「SSTの実施の現状とSST実施への不安・阻害要因」の実態調査により問題点とニーズを洗い出した上で、技法習熟と実施の両面でコストが少ない、教師が実施しやすいシングルセッションの「ミニSST」の開発を行う。この「ミニSST」の提案により、教師による実践が進み、自らクラスを変えられるという自己効力感が向上し燃え尽き防止となり、教師自身がクラスにフィットするプログラムを開発する契機にもなろう。 本年度は、学校でのSSTの実施状況および、SST実施への不安・阻害要因の実態を明らかにすることを目的に、教師108名を対象に、属性、SSTに対するイメージ、SSTの有効性、SST実施へのイメージ、SSTの実施状況の調査を行った。SSTのイメージについては、ポジティブなイメージの項目の平均値が高い一方で、具体的な深い有効性にかかわる項目の平均値が低かったが、本調査に協力した教師がSST未体験であったため、具体的で深いレベルの有効性には疑問を呈したと考えられた。SST実施を阻害する要因については、SSTへの意欲から自身でのSST実施効力感への直接的なパスは有意とならず,SSTへの意欲が存在しても自身でSSTを行える効力感とはならないことが確認された。また,SSTへの意欲からSSTの技術習得・SSTの職場への適合性への正のパスが存在し,共に自身でのSST実施効力感への正のパスが存在した。以上より教師がSST実施効力感を持つためには,技術習得を容易にし、忙しい学校現場に適合するSSTの提案が必要だと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり、当初予定した計画が順調に進み、応用教育心理学会における発表を2題行うことができた。 なお、この2題をもとに、現在、九州産業大学国際文化学部紀要、および応用教育心理学会の学会誌への投稿に向けて、鋭意執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記したとおり、当初予定した計画を初年度順調に行うことができ、また研究計画の変更の必要性も認められないため、計画通り以下の研究を行うこととする。 2年目の研究のテーマ:教師が実施しやすいミニSSTの開発1(参加者の視点からの検討)。(目的)苦手意識に配慮した習熟しやすいシングルセッションの「ミニSST」原案を作成の上実施し、参加者アンケートを行うことで、参加者の視点からプログラムの適切性について検討を行う。(方法)トレーナー:SSTに達意の研究分担者山口。予備研究:学生30人程度を対象に実施予定。本研究:教職課程の学生80人程度を対象に実施予定。内容:前年度の実態調査を踏まえ、技法習熟が容易ながら、対人関係の良循環に役立ちどの児童生徒にも必要な「上手な聞き方」をとりあげる予定である。評価:ミニSST終了時に、参加者にプログラムの利点と改善点を問うアンケートを配布の上回収する。
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Causes of Carryover |
本研究課題は開発研究であるが、1年目は開発に向けた実態調査で、いわば準備段階の研究であり、若干の倹約が可能であった。 1年目の研究活動を通して、国内学会でより多くの議論をすることが、本研究課題の中心的取り組みとなる開発研究の充実に必要であることが見えてきたため、当初の予定より国内学会発表の回数を増やすこととなった結果、2年目の支払請求額が、当初の計画より多くなっているが、研究計画全体には変更がない。
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Research Products
(2 results)