2018 Fiscal Year Research-status Report
多様化する学習者を意識した先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発と検証
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18K02905
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
曽我 聡起 千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (30279476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川名 典人 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (50295929)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デジタル教科書 / Books Store / iBooks Author / Moodle |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発は概ね順調に推移している。これまでに,オープンソースなLMS(Learning Management System)であるMoodleを元に,360度VRビュー(以下VRビュー)コンテンツをデジタル教科書に埋め込むためのオブジェクト(以下 VRビューウィジェット)生成システムの開発に成功した。これにより,市販のVRビューを撮影可能なデジタルカメラで撮影したVRビュー静止画,およびVRビュー動画をWebブラウザーにドラッグ&ドロップするだけで,デジタル教科書に利用可能なVRビューウィジェットをダウンロードできる。これにより,VRに関する特殊なスキルを持たない教師でも,簡単にVRビューを用いたデジタル教科書を作成できる。 これ以前に事前実験として,既存のVRビューサービスにコンテンツをアップロードし,該当コンテンツのURLを参照する方法を検討した。こうした事前実験では,デジタル教科書内のVRビューが,端末(この場合,iPad)のセンサーに反応することで,学習者は体を動かしながら学習するという,これまでに無い学習体験を提供することができた。一方で,既存のVRビューサービスを利用する方法で,画像表示のレスポンスが悪くなり,何よりもWi-fiなどの通信手段が不可欠になるという課題も確認できた。 以上の事前実験をもとに開発したのが,上述のシステムである。これにより,VRビューコンテンツを表示する際には,ネットワークアクセスは不要となり,かつ,レスポンスに優れたVRビューの表示が可能となった。 2018年度の成果として,VRビュー埋め込んだデジタル教科書「 VR English Textbook」(NORIHITO KAWANA,)を開発し,これをApple社のオンラインストア(Book Store)で無料出版し,全世界からダウンロード可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
埋め込み型VRビューウィジェットを自動生成するシステムの作成と利用する目処がついたことから,研究は概ね順調に進捗していると考える。 開発したシステムを活用し,今後は,VRビューウィジェットを内蔵したデジタル教科書の作成が可能となる。既に,博物館におけるガイド機能を内蔵したVRビューウィジェットを含むデジタルガイドブック「札幌国際大学博物館 ガイドブック 触って、観て、聴いて 楽しむガイドブック」(水口幸哉 & 坂梨夏代)のオンライン出版にも成功した。これは,ガイドブックの形態をとったものであるが,その一方で,学習者への小問題機能を含むなど,デジタル教科書としての利用を意識した作りになっている。本デジタル教科書を用いて実際に行った実験では,このデジタルガイドブックを用いた利用者の展示物における知識の記憶が,デジタルガイドブックを用いずに博物館内を観覧した利用者と大きな差があったことが分かった。 その一方で,Apple社のビュワーアプリである,Booksアプリのバージョンアップに伴う仕様変更により,デジタル教科書に埋め込んだVRビューコンテンツが端末のセンサーおよび,主導による操作ができなくなる,というエラーが発生した。このため,システムで使用しているライブラリを変更することで,手動による利用が可能となるように対応したが,いまだにセンサー対応は復旧していない。このことは,Apple社のサポートサイトにも告知済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
このように,先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発は概ね順調に推移していると考える。一方で,教育において,重要な課題の一つが学習者のモチベーションがある。そこで,モチベーションに効果があると考えられる,マンガの活用を検討している。既に,次のような予備実験を行っている。 この実験は,マンガの作成者がTA(Teaching Assistant)として授業を行なっている教室に入る。対象となる授業科目は,学生が授業に関する内容をコンピュータを用いて行う作業を伴うものである。マンガの作者は,学生の理解状況を見極めつつ,理解が不十分と感じた場合,講義内容に関するデジタルマンガ教材を,授業中,タブレット端末を使って作成する。これを授業中にポータルサイトにアップロードすることで,学生は,理解が不十分なまま作業をすることなく,学習モチベーションが高まることを期待している。 一方で,作成したデジタルマンガは,再利用可能なリソースであることから,授業終了後,デジタル教科書に利用可能である。現在,デジタルマンガをどのような表現手法,すなわち本文を主体として,マンガは必要な時のみに利用可能にすることも可能であるなどについて実験を行なっている。 今年度はこうした新たな先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発に加えて,実際の授業や学習への利用を検討し,その検証に向けた準備を行うことを考える。
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Causes of Carryover |
当該年度に支出を予定した物品費のうち,実験に用いたタブレット端末(iPad)を購入する際,教育・研究機関に対する特別割引が適用された。これにより,当初予定していた単価見積りより若干安価に購入することができ,上記差額となった。
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