2019 Fiscal Year Research-status Report
多様化する学習者を意識した先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発と検証
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18K02905
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
曽我 聡起 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (30279476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川名 典人 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (50295929)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オンライン授業 / VR / AR / デジタル教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度(2018年度)は,研究課題「多様化する学習者を意識した先進技術を含むデジタル教科書用コンテンツの開発と検証」において,360度VRビューを内蔵したデジタル教科書教材を中心に活動を行なった。これは,360度VRビューコンテンツをオンライン に依存しない埋め込み型コンテンツとして用いるものであり,一定の評価を得ていた。2019年度においても,この活動を踏襲しようと検討していた。しかし,Covid-19パンデミックにより社会状況が一変した。特に,日本の大学教育の分野においてはオンライン化が一気に進み,学生のオンラインに対する意識,特に抵抗感が下がったと考えられる。また,学習者は自宅やアパート,寮などの環境から授業に参加するなど,多様化している。 一方,我々がデジタル教科書の作成に用いてきたiBooks Author(Apple)のプライバシーポリシーの変更などにより,埋め込み型360度VRビューコンテンツがセンサー非対応となった。 こうした社会状況のドラスティックな変化に対応し,研究活動の方針をオンラインを前提としたデジタル教科書用コンテンツの開発と検証を行うことにする。具体的には,2018年度に報告したオンライン型360度VRビューコンテンツをデジタル教科書に用いたオンライン授業への利用を検討する。また,活発に実施されるようになってきた,非対面型オンライン授業を支援する教材についても本研究で取り上げることを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの進捗として,360度VRビューコンテンツをオンライン に依存しない埋め込み型コンテンツとして用いたデジタル教科書の開発とリリースを行なった。開発にはJava ScriptライブラリーとしてA-FRAME([https://aframe.io/])を用いた。本ライブラリを内蔵したHTML5ウィジェットを出力し製作を支援するWebサイトを開発した。このWebサイトに360度VRビュー形式で撮影した画像ファイルをアプロードすると,HTML5ウィジェットが生成・ダウンロードされるので,デジタル教科書教材として必要な場所に埋め込むことにより,Webブラウザなど他のアプリケーションを用いることなく,デジタル教科書内で360度VRビューを使用している携帯情報端末の加速度センサーに反応して閲覧することができる。開発において,我々が留意したことは学習者がオンライン環境が無い環境下においても教材を利用できるように,必要なJava Scriptライブラリーを全てHTML5ウィジェットに内包する点にあった。この成果を元に,我々は地元の360度VRビューを内包した英語教育用デジタル教育教材を開発し,Apple社のBook Storeから無料配信した(VR English Textbook, NORIHITO KAWANA,Apple Books)。その後,Apple社のポリシーの変更により,内蔵型360度VRビューは携帯情報端末上における表示ができなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の科研費で開発してきた360度VRビュー内蔵用のHTML5ウィジェットは,現在のBooksアプリでは稼働しない。しかし,過去,我々が検証用に作成したBlogエンジンWord PressのVR用プラグインに配置したコンテンツをHTML5ウィジェットで参照すると,携帯情報端末(iOS, iPadOS)の加速度センサーに対応することを,最新版のOSとBooksアプリ上で検証済みである。この場合,学習者はオンラインを使用することが前提となる。しかし,Covid-19パンデミック後に日本の大学が一斉にオンラインを前提とする授業様式に変化したことを考慮すると,学習者がオンラインを前提とする教材の利用に対する抵抗感は,以前よりも少ないと考える。また,HTML5ウィジェットのデータ容量も,A-FRAMEのJava Scriptライブラリーを必要としない分軽減されるメリットもある。 そこで,今後の研究としては,これまで構築したHTML5ウィジェット作成用システムを,オンラインによる360度VRビュー用HTML5ウィジェット作成用支援システムに改造し,オンラインを用いた授業様式に対応させる。その上で,VRやARなどを用いたリッチコンテンツを含むデジタル教科書の,オンライン授業における効果的な利用方法について検証を深める予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度までに,360度VRビューコンテンツをオンライン に依存しない埋め込み型コンテンツとして,Java ScriptライブラリーとしてA-FRAME([https://aframe.io/])を内蔵したHTML5ウィジェットを出力し製作を支援するWebサイトを開発した。この成果を元に,我々は地元の360度VRビューを内包した英語教育用デジタル教育教材を開発し,Apple社のBook Storeから無料配信した(VR English Textbook, NORIHITO KAWANA,Apple Books)。その後,Apple社のポリシーの変更により,内蔵型360度VRビューは携帯情報端末上における表示ができなくなった。そこで,2020年度において,これまで構築したHTML5ウィジェット作成用システムを,オンラインによる360度VRビュー用HTML5ウィジェット作成用支援システムに改造し,オンラインを用いた授業様式に対応させ,実証実験を行うように研究計画を変更する事にした。 また,2019年度後半はCovid-19によるパンデミックが発生し,海外渡航,日本国内の移動制限などから,一時的に学会発表が困難な状況が発生した。2020年春以降の様子から,2020年度はオンラインなどによる学会発表が可能になったことから,積極的な学会発表をこなす予定でいる。
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