2022 Fiscal Year Annual Research Report
Developing a system for supporting note-taking skills of university students
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18K02913
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
吉岡 昌子 愛知大学, 文学部, 教授 (10584097)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ノートテイキング / 手書き行動 / 講義 / 板書 / 大学生 / 時系列測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、講義中に大学生が行う手書きのノートテイキングを支援するシステムを開発することを目的とした。この課題に本研究は、申請者らが製作した手書き行動の測定装置(吉岡・藤, 2017)を用い、ノートテイキング行動と教員の授業行動の実測データを収集することから着手した。研究期間を通じて、模擬講義場面を対象に予備調査と4つの実験を実施した。実験では、1)板書とパワーポイントの使用(文系科目、理系科目それぞれ)、2)板書の有無、3)対面とオンライン授業間の比較を行った。その成果として、時系列分析により、教員の板書を1分以内の遅れで学生のノートテイキングが追従するという関係性を記述することができ、パワーポイントでは同様の追従性がみられないことを示した。また、板書は学生の用語の筆記や表現の形式を制御することが示唆された。教員の板書と発話の速度は負の相関を示し、本研究で対象とした教員においては、板書は教員の発話速度を低下させる効果がみられた。また、実験と並行してホワイトボードと黒板に対する板書行動をリアルタイムで計測する装置を製作し、それらの実用性を示した。最終年度は、板書の有無による教員の発話の違いをテキスト・マイニングにより分析し、板書時は発話に語の繰り返しが多くなるという特徴が得られた。これらのことから、本研究は従来、測定技術の不足により、事後評価に留まっていた大学生のノートテイキング行動と教員の講義行動が教室でどのように生起するのか、また、教授法の違いによるノートテイキング行動の変化を明らかにした。ただし、新型コロナウィルス流行により、予定していた実際の講義場面で装置を用いて支援システムを設計・検証するには至らず、対面とオンライン授業場面の比較に研究計画を変更して対応した。
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Remarks |
2022年11月に本研究の成果還元を目的として、高校生を対象に「ノートテイキングを科学しよう」という企画を実施した。
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Research Products
(2 results)