2018 Fiscal Year Research-status Report
効果的な医学PBLを実現する教育用電子カルテとeラーニングシステムの開発
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18K02914
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
鈴木 茂孝 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90148289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若月 徹 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40335394)
堀場 文彰 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (20290166)
大槻 眞嗣 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50267952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PBL / 電子カルテ / ICT / 授業支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学教育においてPBLは能動学修を基本とした効果的な授業手法であるが、テュータの負担が大きい、授業が能動学修に成りえていない等の課題を持っている。本研究は、PBLの適所にICT支援を導入し、臨床の流れに沿った問題基盤型の授業形態とすることを目的としている。 本年度は主に「PBL教育用電子カルテ」システムの主要機能である「検査依頼応答」機能を作成した。このシステムを実際にPBL授業で活用し、患者の基本データや臨床検査の依頼、結果の判読・評価、再度の検査依頼など、自分で実施する検査項目を熟考し、検査データを得るという臨床現場に即した能動的な学修を実現した。 システム開発においては、1.学生端末の機種やOSに依存しないwebアプリケーションとする、2.シナリオごとに異なる検査項目に対応して、検査データベースや画面構成が容易に変更できる、3.操作性、視認性は、PBL授業の流れを妨げずに、かつ充分な量の情報を提供できること、の3点を主要件とした。これらを踏まえて、データ層とアプリケーション層、プレゼンテーション層を作成した。登録した検査項目は直近の過去12回のPBLシナリオから、汎用的な検査項目及び、症例に固有の検査項目を分けて178項目を抽出し、臨床検査項目分類コード(JLAC10)に準拠して登録した。かつ今後のPBLのシナリオによって容易に追加できるようにした。 システム評価のため、学生121名を対象に質問紙法による調査を行った。112名より回答を得、「今後も使用したい」の項目で、5段階中4以上の肯定的な回答は83%と高い評価を得た。一方、「機器の反応は良好」については、5段階中の最低評価の”そう思わない” が13%あった。これに関しては、画面に検査項目が密集していて、誤選択し易いとの意見もあった。これらは早期のシステム改善を目指して改修しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標とした「PBL教育用電子カルテ」システムの主要機能である「検査依頼応答」機能は作成を完了し、3回のPBL授業(1回のPBLは、6コマ/週より構成)で活用した。各回のPBLでシステム改善のためのアンケートを行い、その都度改善を行った。改善点は主に、学生から要望の多かった検査依頼画面の見易さ等の操作性であった。その結果、「PBLの進行に役立った」とする回答が87.5%であり(5段階中4以上)、「医用画像の見やすさ」では、84.8%が肯定的な回答であった。「機器の反応は良好」については、67.8%が肯定的(5段階中5あるいは4)、14.3%が否定的(5段階中2あるいは1)な回答であった。まだ改善の余地はあるが、PBL授業の改善に一定の役割を果たすものが開発できたものと考えている。 また、PBL授業に新しいICT支援が円滑に導入されるよう、学生への情報提供の場となるPBL専用の「ポータルサイト」webを構築し、検査依頼応答システムへの「リンク」、システムの操作方法、受業の案内・予告、受業資料の掲示などのサービスを提供した。学生は、このPBLポータルサイトを中心に今後のICT活用支援サービスにもアクセスできるようにした。更に、学生が使い慣れているeラーニングシステム(Moodle)を使って手書きレポートの返却を行う機能拡張モジュールの開発を継続し、手書き学籍番号を読み取る機能等を追加し運用方法の改善を行った。 次年度の研究テーマである「PBL学修進捗支援」として、1.iPadを用いたPBLシナリオの配信・閲覧、2.Webを介したPBLシナリオの閲覧の仕組みを試作し、それぞれを授業で試行し、次年度に予定しているPBL授業進捗支援システムの仕様作りの基礎情報を得た。 以上、計画に沿って順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(生成29年度)の「検査依頼応答」機能の試作と評価を基に、引き続きの改善に努める。今年度は学生の立場に立った改善を中心として行ってきた。システムはPBLシナリオに柔軟に対応できるように設計・構築したが、反面、システムの保守には手間が掛かる。次年度(令和元年)には授業コーディネータ(授業管理者)の立場から、データベース(検査マスター、検査依頼画面構成、検査結果表示画面構成など)の保守ツールの開発を行う。 また、PBL学修進捗支援策として、1.受業中に用いることを想定したものと、2.学生が自学自修することを想定したものの試作し、実際のPBL授業での活用と評価を実践する。1.の授業中に用いる方策として、(1)Webを介して資料を随時提供するもの、(2)あらかじめ、学生の端末に、チャプタ(1回のPBLは進捗に応じて15のチャプタに分割されている)毎に必要に応じて暗号化した資料の全てを事前配信し、学修の進捗に応じて、パスワードを提示して閲覧可能する方法を考案し、今年度に試行した。次年度は、試行と評価を繰り返しつつ改善を行う。2.学生が自学自修することを想定した方策としては、eラーニングシステムの活用を予定しており、過去のシナリオを用いて、進捗に応じた資料提供ができる仕組みを構築する。試作段階より、学生とテュータを対象に質問紙法により評価を得て、改善を繰り返す。
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Causes of Carryover |
購入した事務用品の若干の値下がりにて、407円の繰り越しが発生した。 次年度(令和元年)研究計画では、本年度に作成した検査自動応答システムを実際の授業で活用し、評価と改善を繰り返す予定である。評価アンケートの作成には大量の事務用品が必要となるため、これに充当し、有効に活用する予定である。
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Research Products
(2 results)