2018 Fiscal Year Research-status Report
科学コミュニケーション技法に基づく技術者安全教育プログラムの開発
Project/Area Number |
18K02935
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 絵香 大阪大学, COデザインセンター, 准教授 (30420425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 智樹 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (00347915)
水町 衣里 大阪大学, COデザインセンター, 特任助教(常勤) (30534424)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 技術者安全教育 / Attitudeの涵養 / レジリエンスエンジニアリング / 負の記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、科学教育(科学コミュニケーション)研究と産業心理学の知見の融合により、安全に関するAttitudeの涵養を目的とした技術者教育プログラムを開発することである。 初年度である平成30年度は、(1)自然災害・産業事故・公害・紛争といった幅広いカテゴリーについて、継承すべき「事故や災害の記憶」について、文献調査およびインタビュー調査を実施した。(2)加えて、科学教育、特に科学コミュニケーション分野における対話型プログラム事例を網羅的に収集し、その目的や対象者、テーマとしての適用範囲などの観点から、分類・整理を行った。(3)その上で、科学コミュニケーション分野において培われてきた対話型プログラムの安全教育への適用可能性とその諸条件について検討する事例検討研究会を実施した。研究会参加者には、社会インフラ企業(社会的に重大な事故を引きおこした企業を含む)において、安全研修などに従事する実務家を含み、産業現場での具体的展開を念頭においた議論を行った。 加えて、原子力発電所運転責任者を対象としたプログラムのプロトタイプ開発を行い、21名を対象に本格実施した。本プログラムを体験した参加者の評価は概ね好評であった。また同時に、改善点についての情報収集もできたため、これらを踏まえてプログラムを再改良する予定である。 また、関連する研究成果の発表を学会等で行うとともに、産業分野における講演・研修活動を通じて、プログラム開発に対する現場からのフィードバックを多数得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、(1)文献調査・インタビュー調査、(2)科学教育分野における対話型プログラム事例の収集と整理、(3)事例検討研究会を実施し、科学教育(科学コミュニケーション)研究と産業心理学の知見の融合に関する議論および、安全に関するAttitudeの涵養を目的とした技術者教育プログラムの開発に着手することができた。 特に原子力発電分野については、予定より先行してのプログラム開発と実施が可能となり、参加者フィードバックをえることができたため、さらなるプログラム改良が可能となった。このことなどから、研究は全体として順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対話プログラムの素材を収集すると同時に、科学教育、特に科学コミュニケーション分野における対話型プログラムを網羅的に収集し、その目的や対象者、テーマとしての適用範囲などの観点から、分類・整理を行う。その上で、先行する原子力発電所の事例以外にも対話型プログラムを開発し、プロトタイプを申請者および分担者がネットワークを持つ産業界等での安全研修などで試行する。31年度に新規のプロトタイプを開発・試行し、フィードバックを受ける。 加えて、科学コミュニケーション分野において培われてきた対話型プログラムを安全教育へ適用するための諸条件について検討する事例検討研究会を、平成31年度も引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
プロトタイプ開発において、外部機関の協力を得ることができたため実施経費(会場費や旅費)について、削減することが可能となった。加えて、必要な資料などがインタビュー対象者・組織からの寄贈で入手できたため、文献複写費などを抑えることができた。 当該予算については、平成31年度に文献調査およびインタビュー調査を拡充することで使用予定である。具体的には、当初予定予定の範疇外であった、海外での調査を実施する予定である。
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Research Products
(9 results)