2018 Fiscal Year Research-status Report
アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラムの開発
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18K02936
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
山本 智一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (70584572)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アーギュメント / 教師教育 / 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラムを開発する条件整備の段階(第1~2フェーズ)であった。 第1フェーズは理論的検討であり,国内外の理科・科学教育関連の学会(ASERA2018,日本理科教育学会第68回全国大会,2018年度日本科学教育学会第2回研究会)に参加し,アーギュメント指導に関する最新の研究から情報収集を行ったり,連携協力者や理科教育関連の研究者から研究に関する助言を受けたりして,アーギュメントを段階的に指導する教師教育プログラムに必要な要件を調査した。 第2フェーズはプログラム試案の開発であった。小学校児童のアーギュメント構成能力育成のために開発したカリキュラムをベースに,教員養成における実践研究(山本・神山,2017)の知見を加えながら,教師教育プログラム試案を作成し,連携協力者を含めて,これまでにアーギュメントの研修を受けた小学校現職教員に事例的に導入した。アーギュメントの段階的指導としては,アーギュメントを初めて経験する小学校中学年児童を対象とした理科授業「風やゴムの働き」「温度と体積の変化」の単元開発(教材開発を含む)やそこでのアーギュメントの指導法について,事例的に授業の構想・実行を支援し,児童のワークシートから授業を分析したり,教師への質問紙・インタビュー調査から教師教育プログラムを評価したりした。これらの分析から得られた知見については,日本理科教育学会第68回全国大会でポスター発表したり,学術論文として日本理科教育学会の『理科教育学研究』に投稿したりした(採録決定済)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラム開発について,次の3点からおおむね順調であると判断した。 第1に,情報収集の面からは,国内外の理科・科学教育関連の学会に参加しつつ,連携協力者や理科教育関係の研究者から助言を受けながら,アーギュメントの段階的指導につながる研究動向を調査することができた。 第2に,小学校中学年の理科授業(第3学年「風やゴムのはたらき」,第4学年「温度と体積の変化」)において,段階的指導の最も初期にあたる授業事例から,アーギュメント指導の初歩段階で必要な教授方略を明らかにし,その授業を構想・実行・評価する教師教育プログラムの試案を事例的に開発することができた。 第3に,小学校中学年の理科授業におけるアーギュメントの段階的指導やそこでの教師教育プログラムの試案について,学術論文や学会発表で公表し,さらに難易度の高いアーギュメントを段階的に指導するためのプログラム開発の準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は,第3フェーズとして,小学校現職教員が自身の授業にアーギュメントを導入することを含めた,教師教育プログラムを実施する。まず,昨年度に開発した試案を整理して学術雑誌に投稿するとともに,これまでの教師教育プログラムの研究から得られた知見をESERA2019(イタリア)で発表する。次に,小学校現職教員にプログラムを事例的に導入するとともに,大学(院)での授業化に備え,教員志望の大学生を対象とした試行的授業を行う。その際,アーギュメントを初めて経験する小学校中学年児童を対象とした事例だけでなく,アーギュメントに習熟した小学校高学年児童を対象とした事例にも着手し,段階的指導の具体を明らかにする。これらの研究成果については,日本科学教育学会第43回年会(宇都宮)のポスター発表,日本理科教育学会第68回全国大会(静岡)における課題研究セッションにて公表し,今後のプログラム改善に向けての知見を得る。 第4フェーズでは,プログラム前後において,アーギュメントの段階的指導能力や評価能力,教師の信念(Belief)に見られる変容を,インタビューや質問紙によって調査するとともに,プログラム中に撮影したビデオを分析する。プログラムを評価して課題を検討するとともに,試案の改善と当該単元の教材開発を行う。そのために,科学博物館や国内外の学会等から,該当単元で活用する知識リソースや指導法に関する情報を調査・収集する。 続いて令和2年度は,第5フェーズとして,当該単元の教材準備を整え,教職大学院の授業科目や理科の教員研修において,改善版プログラム導入した実践を行う。日本科学教育学会年会(姫路)において,改善版プログラムの成果を公表する。そして第6フェーズでは実践を評価するとともに,研究の総括的考察を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画では,情報収集の海外旅費として,NARST 2019(アメリカ)への参加を予定していたが,この370,000円を2019年に開催される日本科学教育学会年会(宇都宮),ESERA2019(イタリア)において共同で成果発表・情報収集を行う連携協力者分の旅費に変更した。また,『理科教育学研究』への採録が昨年度内に間に合わなかったため,超過ページ代196,338円を繰り越した。よって計566,338円の次年度使用が生じた。 消耗品としては,小学校理科の教材研究を行うために,実験器具類,関係図書を購入予定である。また,分析や執筆のソフト,情報整理のメディア,ファイル類等が必要であり,計200,000円を予定している。情報収集の旅費としては,自然科学博物館(東京など年間2回程度)での収集を計画するとともに,神戸大学附属小学校等で年間5回の研究打ち合わせを行う(200,000円)。また,成果発表の旅費としては,ESERA2019(イタリア),日本科学教育学会年会(宇都宮)での発表(2名で740,000円),及び日本理科教育学会全国大会(静岡)での発表を予定している(4名で200,000円)。これらを含め,計1,140,000円を計上する。謝金として,データ分析補助に計20,000円,その他としては,翻訳,学会参加登録費及び成果物の印刷費などに306,338円の使用を予定している。
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Research Products
(3 results)