2020 Fiscal Year Research-status Report
アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラムの開発
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18K02936
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| Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
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Principal Investigator |
山本 智一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70584572)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | アーギュメント / 教師教育 / 科学教育 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は，アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラムを開発するための実践と総括段階（第5・6フェーズ）であった。
第5フェーズとして，教職大学院の授業科目「授業の指導計画と教材研究の演習」において，小学校教師が自身の授業にアーギュメントを導入することを含めた，教師教育プログラムを実施した。そこで得られたデータを分析・評価し，日本理科教育学会第70回全国大会（岡山大会）及び，日本科学教育学会第44回年会（姫路大会）で成果発表を行った。さらに，これらの実践から得られた知見をもとに，現職教員を対象とした連合大学院の授業科目「理科授業特別研究」において，改善版プログラムを検討・実践した。また，アーギュメントの初期段階の段階的指導を可能にするプログラムとして，教員志望の学部生を対象とした教師教育プログラムを分析し，『理科教育学研究』第61巻第1号に学術論文として公表した。
第6フェーズでは，これまでの実践を整理し，プログラムを受講した現職小学校教員によるアーギュメントの段階的指導の授業分析や，教職大学院で実施した教師教育プログラムでのアーギュメント指導能力，評価能力，教師の信念（Belief）の変容について，インタビューや質問紙，ビデオ分析によって調査した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により，データ分析や成果発表に遅延が生じており，上述した第6フェーズの研究成果は，令和2年度内に投稿済みであるものの，公表や発表は令和3年度になる予定である。具体的には『理科教育学研究』第62巻第1号（令和3年7月刊行予定・採録決定）に学術論文として公表するほか，ESERA2021（European Science Education Research Association：令和３年８月オンライン開催）で発表予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アーギュメントの段階的指導を可能にする小学校教師教育プログラムの実践について，次の3点で研究計画は遂行できていると判断した。
第１に，アーギュメントの初期段階の段階的指導を可能にするプログラムとして，教員志望の学部生を対象としたプログラムを分析するとともに，アーギュメントに習熟した児童を対象とした，レベルの高い段階的指導を可能にする教師教育プログラムを実施し，その成果を分析できたからである。また，これに関連して，アーギュメントに習熟した小学校高学年児童を対象とした授業分析も実施し，段階的指導を要する小学生の実態を分析・整理できたからである。
第2に，教師教育プログラム前後において，アーギュメントの段階的指導能力や評価能力，教師の信念（Belief）に見られる変容を，インタビューや質問紙によって調査・分析するとともに，そこから得られた知見をもとに，改善版プログラムを実施できたからである。
第3に．上述した実践や分析の結果について，日本理科教育学会の『理科教育学研究』に2本の学術論文として投稿（1本は採録済・もう1本は採録決定）したり，「日本理科教育学会第70回全国大会」及び「日本科学教育学会第44回年会」において発表したりして，本年度の研究成果に示すことができたからである。
ただし，新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け，国内外での情報収集，データ分析や成果発表に支障が生じ，研究期間を1年間延長せざるを得なかったことから，「やや遅れている」と判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は，新型コロナウイルス感染拡大によって延期されている第6フェーズを継続し，これまでの実践を整理・評価するとともに，研究の総括的考察を行う。
具体的には，アーギュメントに習熟した児童を対象とした，レベルの高い段階的指導に焦点を当て，前年度までに得られた，小学校理科授業や教師教育プログラムのデータを分析する予定である。その際，国内外の科学教育関連の学会（遠隔開催を含む）から，アーギュメントや科学的論述能力の指導法に関して広く情報収集・交流を行うとともに，新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みながら，可能な範囲で科学系博物館や理科の公開授業研究会，科学イベントにおいて，プログラム開発のためのさらなる教材コンテンツや指導法についての情報を収集する予定である。
研究成果の公表に関しては，日本理科教育学会の『理科教育学研究』への学術論文の掲載が確定している。昨年度，IOSTE2020で発表する予定であった，教師教育プログラムの成果については投稿先をESERA2021（ポルトガル：オンライン開催）に変更するとともに（採択決定），昨年度と同様に日本科学教育学会研究会での発表を予定している。また，これまでに分析してきたアーギュメントの初歩段階での指導の成果と課題についても整理し，海外の学術誌”International Journal of STEM Education”への投稿を予定している
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| Causes of Carryover |
予定していた，全国小学校理科研究大会（福岡），及び，東京国立科学博物館等への情報収集（東京2回），対面での研究打ち合わせ（神戸5回）が，新型コロナウイルス感染拡大のために実施できず，旅費171,000円相当が執行できなかった。また，データ分析の遅延により，IOSTE（韓国）や日本科学教育学会研究会（宮崎）での成果発表が間に合わず，155,000円が未執行となった。さらに『理科教育学研究』（採録決定）への支払いが昨年度内に執行できなかったため，掲載料・超過ページ代約200,000円を繰り越した。これらに伴う消耗品の購入遅延で生じた金額や，対面を想定して購入予定であった実験道具一式代を含めた148,318円を加え，合計674,318円の次年度使用が生じた。
消耗品としては，研究を整理するためにアーギュメントの関連図書や学術論文を購入予定である。また，情報整理のメディア，ファイル類等が必要であり，計150,000円を予定している。国内旅費としては，情報収集・打ち合わせ・成果発表のために自然科学博物館等（東京など2回程度），神戸大学附属小学校等（3回程度），日本科学教育学会研究会（九州）を用務先として計200,000円を計上する。その他としては，成果物の超過ページ代（200,000円）及び，翻訳・校閲，学会参加登録費など（124,318円）を合わせ，計324,318円の使用を予定している。
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