2018 Fiscal Year Research-status Report
大地と天体を結ぶ新学習法-星空地球塾におけるプログラム開発と実践研究-
Project/Area Number |
18K02938
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松本 一郎 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30335541)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 野外地学学習 / 地質 / 天体(月と太陽) / 宇宙と地球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境問題や減災・防災教育とも相まって現代的な社会・教育課題としてますます注目をされるようになってきた理科、地球領域における課題を解決するために行っているものである。平成32年度からの新学習指導要領の実施に伴い、現代的な理科教育の課題を整理・勘案したときに、科学的な知識・理解に加え、防災教育や環境教育の観点や扱いが重要になってきた。同時に単元・教科横断的な学習や社会に開かれた教育課程が重視されるにあたり、「地球」領域にでは、これまで独立的に行われてきた「大地に関係する単元」と「天体に関係する単元」とを関連させる授業展開・教材開発が児童・生徒にとっては時間・空間概念の獲得に向けて効果的であると考え実践教育を伴う研究を進めている。 平成30年度は、研究代表者がこれまで培ってきた野外学習支援のプログラムを「星空地球塾」として確立し、児童・生徒の科学リテラシーのうち「地球」領域の時間・空間概念の獲得・向上と教員を目指す大学生・大学院生の指導力向上を目的として行った。概要として、島根県内(主に松江市)の小学校を中心として合計20回の野外学習支援をとおした実践研究を行う事ができた。内訳は、島根県内の小学校(松江市)13校に対して島根半島や斐伊川を用いた野外学習支援研究を、市内の小学校1校に対して環境教育に関わる室内研究授業を、島根県内の小学校(邑南町)7校に対しては天体に関わる室内研究授業を行う事ができた。また、市内の中高一貫校に対して島根半島における野外学習授業を、岡山県の岡山大学附属中学校の生徒に対しても島根半島において地学特別授業を行う事ができた。 また本研究の成果や成果の普及を目指して13本の研究発表を学術学会にて発表することができた。特にそのうち2本は海外での国際発表であった。特筆すべきは、ブラジルで行われた国際会議にて、次回開催国として日本の招致を獲得した点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当研究は、当初の計画以上に進展をしていると言える。その理由として本研究は小学校を中心とする野外学習や天体に関する観察を中心にその教授法や教材を開発していくものであるが、初年度の平成30年度は20もの学校において、児童・生徒を交えての実践教育研究を実践できた点である。 また、途中経過ではあるが13本の研究発表を国内外の学術学会において発表できた点である。加えて、4年後の国際地学教育学会の日本招致を獲得できた点も大きい。開催地は島根県松江市として国内の調整が終わったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進であるが、研究2年目、及び3年目についても初年度(平成30年度)と同数程度の小学校を中心とした学校の児童・生徒に対して実践授業を行う予定である。それらの実践授業を通して、これまでは地学分野でも別々におこなわれてきた大地の学習と天体の学習の融合した学習・授業の開発を目指す。 具体的には地学(大地)と天文(星空)の融合学習を目指している観点から3段階にわけて推進方策を考えている。 まず一つ目として、「地球」領域のそれぞれの単元学習において本物、もしくは本物を実感させるような事物・現象を観察させる教材を開発する。また、その学習上の有効性を明らかにすることである。具体的には、小学校5年生の「流れる水の働き」、6年生の「土地のつくりと変化」、中学校1年生の「変動する大地」の3つの単元を中心に、島根県・鳥取県の野外学習地点の選定と実際の野外学習を実施する。 二つ目として、単元間をつなぐ学習が生徒・児童の「地球」領域における見方・考え方である「時間的・空間的」なものをどの程度高める事に繋がるかについて明らかにしていく。三つ目として、本研究では野外学習や天体学習が地域の中での環境学習、故郷学習、防災・減災学習に繋がるような工夫を行い、これらの学習を用いて新学習指導要領で重視されている「社会に開かれた教育課程」として学校を拠点として地域と結びつくような仕組みの構築を目指している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた額は、1万円以下であり、当初計画もしくは当初の研究計画において概ね予定どおりの執行であった。差額の7,944円については、研究者の努力により生じた者と考えており、次年度に合わせて使用した方が本研究推進のためには有効であると判断した。
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