2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of learning materials suitable for mobile devices which induce students' awareness and deepen understanding
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18K02941
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10305609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 真澄 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 准教授 (10194995)
長坂 耕作 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70359909)
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反転授業 / 自動生成多肢選択問題 / 線形代数 / 動画開発 / ICT活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は,大学初年次数学授業,特に線形代数において,自動生成多肢選択問題のランダム出題を基軸として,反転授業を実施し,気付きを誘発する授業モデルを開発することである.今年度前期においては,多くの問題について,多肢選択問題の自動生成プログラムを開発し,それを活用して,回答形式にわずらわされることのない授業展開ができた.また,後期においては,問い掛けを基軸とする動画を新たに開発し,これまでの問題教材と合わせて,形の上で反転授業モデルとして一応の完成形を見た. また,後期の反転授業モデルの構築の結果として,提供教材のうち,動画については,学生は次第に視聴しなくなり,スライドや演習書を中心として理解を深めていく様子が判明してきた.一方で,問題の実施の重要性については,今後のより詳細な分析は必要なものの,その効果を学生自らが認識する場面が多かったと言える.動画教材については前半特に抽象度の高い内容について,学生の自己分析として,予習により理解が深まったと考える学生も多かった. 今後のテーマとして,前期の動画を問い掛けを基軸とする内容に改訂することがあげられる.前期の内容は抽象度はそれほど高くないが,後期の理解のためにもまた,今後の理工学における行列に関連する内容についての計算や理解の上でより定着させる必要があり,問い掛けを基軸とする動画と多肢選択問題を中心とする,より深い思考を要求する学習スタイルを学生に求める反転授業を完成させることで,効果を高めることを計画している.不幸中の幸いで2020年度はコロナ禍による影響で全数学教員が原則反転授業=非同期型授業を実施することになっている.線形代数において,多くの助言を行いつつ,教材の確認や精査を本職において行うことで,その効果の検証も進むことを期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのところ,おおむね前期については問題教材,後期については動画開発を中心として,かなり進展した.しかし,これらに要した開発時間はそれぞれ各半期で200時間超で当初の想定を遥かに超過した.そのため,前期の動画について,問い掛けを基軸として問題とのセットとしての改訂をすること,後期の動画開発に合わせて類題として実施する多肢選択問題を開発することは,いずれも全くできていない.後期については,STACKと言われる数式入力を必要とする問題プラグインの多肢選択機能を使ったが,これにはフィードバックができないという問題点があり,やはり自動生成多肢選択問題の利用が不可欠である.本研究を進める上でこれら,動画と多肢選択問題を中心とする問題教材は車の両輪であるが,それらが各半期に一方しかできなかったことで,やや遅れていると言える.また,APOS理論などの認知科学的なアプローチをアンケートや個別面談で実施する予定であったか,準備ができず実施できない状況である点も遅れていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2020年度においては,残りの教材を完成させていく.特に前期の動画教材としては,2017年に開発した動画教材は説明が多く,学生が見るにはかなりレベルが高い理論寄りのものであるため,これをテーマを小さくしぼって,少しずつ問い掛けながら進める動画に改訂する必要がある.2020年度はコロナ禍によりすでに労働時間は限界を超過しているがその多くは不幸中の幸いにしてこの動画開発に割くことができている.前期はこのまま進めると同時に2019年度前期開発の多肢選択問題について,同僚のチェックを仰ぎながらミスの修正を行っていく.問題のバグは学生の学習にとって大きな躓きになりかねない重大な問題だからである. 後期においては,2019年度後期開発の動画における読み上げ音声の問題点を解消し,微細な修正を行う.また,2019年度にできなかった多肢選択問題の自動生成を分担者長坂の開発した新しいPythonを用いたスキームで, 可能ならば取り組んでいく.これにより,より多くの教員がこのような問題開発に参画できるようにし,一般的な数学問題仕様構想のMeLQSとの統合を視野に, 設計を検証していく.また,開発データの共有により問題の利用を少なくとも大学内に広げ,学習分析の視点から問題の利用効果を検証できるよう検討していく.
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Causes of Carryover |
学会等の中止により,予算支出を見送ったため,次年度使用額が発生した.また,物品予算も比較的予定より少なくおさえられたため,次年度使用額が発生した.
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Remarks |
問題群や開発動画も順次 http://www2.las.osakafu-u.ac.jp/~yositomi/ から辿れるURLで公開していく. また動画はYouTubeでも一般公開している.
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Research Products
(8 results)